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ミリON★オーダー 33話

<残されたもの>私の婿探しという名目で始まった子守騒動があってからすでに季節は三巡し、今年大学を卒業した京は念願の幼稚園の先生になれる事になった。「しかし面白いものだな。陣城寺の婿殿が幼稚園の先生とは」「面白い?そうかな、京の就職先に私は何ひとつ不満がないけれど」「まぁ、実質財閥仕事は嬢ちゃんがこなしているからな…いてもいなくても同じか」「酷い言い様ね。財閥には要らなくても私には必要不可欠な夫なん...

ミリON★オーダー 32話

<来るべき時>其の日は私の住む街に桜の開花宣言がされた日だった。「…あ」「ん?どうしたの」朝、京と食事をしていた時ソレは突然感じた。「ちょ、ちょっとごめんなさい」「え、未梨ちゃん?!」食事中に中座するなんて行儀が悪い事だと解っている。だけど…これは、この感じは──「おめでとう、未梨」「…やっぱり」一度トイレに駆け込んでソレを確認した後、花鳥の元に行った。「これでいつでも子どもが産めるぞ、よかったな」「…...

ミリON★オーダー 31話

<真実>外門を過ぎてから何分経ったか。(相変わらず奥深くに隠れてしまっているな)所詮財閥の当主といっても今や象徴だけに過ぎぬかも知れない。実際に関連企業への関与は其の各企業のCEOや顧問弁護士などが動かしているも当然。(ただの当主という肩書きを纏っているに過ぎないのだ…あの殿は)「あぁ、確かアレの筆頭世話人のひとり…だったな」「ご無沙汰しておりました。流蓬 菊(リュウホウ キク)と申します」「流蓬…というとあ...

ミリON★オーダー 30話

<もうひとつの>「不二宮さん」「ん?」「…こんにちは」「こんにちは──どうした、今日はなんだか元気がないようだが」「い、いいえ、そんな事はないです」「そうか」マンション内の図書室で本を読んでいると珍しく萩が向かい側の席に座った。こうしていると彼女と最初に会った日の事を思い出す。あの時は妙な女だと思ったが…事情を知って話すようになってみて、なんとなく人となりを知るようになると印象というのは変わるもので──...

ミリON★オーダー 29話

<別離> テレビからちらほら桜の開花宣言が流れるようになっていた。桜前線は南の方から徐々に北上している。私の住む街に桜が咲くのはまだもう少し先の事だ──「…本当に出て行っちゃうんですか?」「オイオイ、あったり前じゃねーか!婿が決まった今、いつまでもいられるかってーの!」(京と千太郎だ)千太郎は今日、このマンションから引っ越して行く。引越し、といっても家具等の持ち運びのない、少し長期滞在のホテルか...

ミリON★オーダー 28話

<心の傷>ベッドの端に私と京は並んで座ってやや体を向かい合わせて私は話始めた。「私のお父様…陣城寺家当主である兆次郎はね、私のお母様とは恋愛結婚だったの」「そうなんだ」「元々お父様には其れなりの家柄のお嬢様が婚約者としていたんだけど、周りの反対を押し切って学生時代から好き合っていた一般人のお母様と結婚したの」「すごいね」「…だけど其れが…良くなかったのかもしれない」「え」「結婚当初から周りのお母様へ...

ミリON★オーダー 27話

<帰宅>「──あぁ…はい、先ほどおふたりで戻られました…えぇ…あぁ、其れは……まさか兆次郎様のお嬢様が…あっはい、はい…なんという巡り合わせでしょうかね…ええ、其の件は決して口外しないと、勿論肝に銘じています…はい…はい、では失礼致します」チン「…ふぅ」トントン「入りなさい」カチャ「院長先生ー京兄ちゃんあのデカい車に乗って行っちゃったよぉー」「あぁ…そうだね。でもまた遊びに来てくれるよ、きっと」「そうかなー来て...

ミリON★オーダー 26話

<過去 二>孤児院の院長室に入ってソファに腰掛けた。「お茶でも飲む?」「ううん、いい」「そう」そう云われたら大人しく座って話し出すしかない。一分一秒でも話をするのを引き伸ばしたい魂胆がバレバレなのか、ソファに向かい合って座った彼女の目は真っ直ぐに俺を見据えていた。「…未梨ちゃんってさ…何処まで知っているのかな、俺の事」「幼い時にご両親を事故で亡くされてから孤児院に預けられて、14歳の時に同じ孤児院にい...

ミリON★オーダー 25話

<過去>舞さんを自宅まで送り届けてまた戻り道を歩く。(ちょっと…甘くみていたかもしれない)ふとそう思った。目の前に彼女がいた時の衝撃はハンパなものじゃなかった。(わずか半日足らずで見つけられるとは思わなかったなぁ)流石陣城寺だと思った。大財閥の情報網を甘く見ていたかも知れない。──だけど元々金持ちの考える事なんて俺みたいな一般人に解かるはずがないんだよな(さて…どうしたものかな)そんな事をつらつらと考...

ミリON★オーダー 24話

<故郷>二時間に一本の電車。無人駅。寂れた自動販売機。錆びたシャッターの下りた店が立ち並ぶ駅前商店街。 あぁ…帰って来たんだな、と思った。昼間なのに相変わらず人影は多くない。時折通り過ぎるじいさんばあさんにジロジロと見られる。これも俺には慣れたものだった。(さて…と)俺の足は自然とあの場所へと向かっていた。獣道の草を払いのけながら進み、やっと開けた場所に出る。そして目に飛び込んでくる【清瀬家】の...

ミリON★オーダー 23話

<真実>「だから今すぐ捜索隊を出してって云っているのよ!」私の怒号が部屋中に響く。部屋の中にいたのは、私のただならぬ様子を感じて夜中にも関わらず起きて来た萩と菊と万次と千太郎だった。「おい未梨、おまえちょっと落ち着けよ!何があったのか順に説明しねぇとわっかんねぇだろうが」「だから先刻から何度も云っているでしょ?!京が…京がいなくなったの!」「はぁ?!なんで」「そんなの知らないわよ!だから今すぐ探せ...

ミリON★オーダー 22話

<キス>深夜2時──(…眠れない)私は先刻から何度も寝返りを打っている。京の事を考えるとどんどん不安な気持ちが胸中を支配してどうにも落ち着かない。(…はぁ)ため息ばかりもう何度目だろう…カチャッ(ん?)今、何か音がしなかった?と思った瞬間「!」急に体に何かが覆い被さるような重さを感じた。と同時にひんやりとした掌によって私の口元は押さえられた。「~~んっーんー!」「しっ!…未梨ちゃん、静かに」(! この声...

ミリON★オーダー 21話

<調査結果>私が足を怪我してから京はパッタリと姿を見せなくなった。なんとなく厭な予感が当たりそうな気がして私はモヤモヤしていた。「ねぇ千太郎、今日、京に会った?!」「きょう、きょうに…面白れぇなー」「! 冗談云ってないで!私、真面目に聞いているんだよ!」「そう怒るなって。会ったぜ、普通に」「様子!どんなだった?!」「別に普通だったけど」「……」「そう気にする事ないだろう?明日、京の当番なんだからそし...
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