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ミリON★オーダー(番外編7-4)



<つばきの恋➃>



「ん…」
「──大丈夫?」


彼と共に絶頂を迎え、其のまま私は一瞬意識を手放していたようだった。


「…あ…腕」


彼の腕に頭を乗せていた事に気がついて私は避けようとしたけれど、空いている方の腕でガシッと体を掴まれ、私は身動きが取れなかった。


「いいよ、このままで」
「…」


男の人の腕枕なんて初めてだったから恥ずかしさからちょっと居心地が悪かった。



「──まいったなぁ…」
「え」


ボソッと呟くように云った彼の言葉にドキッとした。


「…あの…私、今日の事、誰にも云いませんから」
「え?」
「こういうのって犯罪になるんでしたっけ…青少年保護育成…えーっと…なんだっけ…」
「あ…あぁ!そ、そうか──えっと…そっちの心配もあるけど俺のまいったって云うのは」
「?」


少し考えあぐねていた彼は急にグッと私の腰を掴んで更に距離を縮めた。


間近になった彼の顔を改めて私は見た。


(よく見るとこの人…瞳がすっごく澄んでいて…綺麗)


そんな事を考えてしまうほどの近くで彼は云った。


「俺、お嬢様に…本気になりそう」
「…」



あれ?



(…そういえば)



「あの…なんで私の事を『お嬢様』って」
「だってあなたは流蓬家のお嬢様…でしょう?」
「! なんで──」

知っているのだと一気に現実に引き戻された。


「あ、そんなに怯えないで!俺…ずっと知っていたんです、あなたが流蓬家に来てから」
「…え」
「俺は流蓬家に花を卸している花屋の息子で…其の…お得意様だから配達の度に何度かお見かけしてて…」
「お花屋さん?」
「はい、流蓬家もそうですが【Million Castle】のロビーや館内の花も俺が担当してて…其れで今日も」
「あ…」



そうか!


だからこの人は敷地内にいたのだ──と今更ながら納得した。



「いつも見かけるお嬢様は着物姿で…たまに庭にいて何かを考え込んでいる雰囲気の時もあったりして…其の…俺はずっとそういうお嬢様を見てて…勝手に憧れてて…」
「憧れ…」

意外な告白に胸が高鳴る。


今まで片想いしかした事がなかったから、いざ自分が誰かに好かれているという事が信じられなかった。


「其の憧れのお嬢様からいきなり誘われた事には驚いたけど──本当は何かあったんですよね?」
「…」
「何かとても哀しい事があって…其れで言葉は悪いけど、自棄になってしまってたまたまいた俺に…こういう事を」
「…」


私は彼の優しげな物云いにフッとすがりつきたくなって全てを告白した。



ずっとずっと誰にも云えなかった心の澱を…



何故かこの人には全てを曝け出す事が出来たのだった──





「──え」


話し終えた瞬間、私は彼に力いっぱい抱きしめられていた。


「あ、あの…」


戸惑いつつ身動ぎすると静かに彼が云った。


「お嬢様の気持ち…解ります」
「…え」
「俺も…身に覚えがある──昔の事だけど」
「…」


其れから彼はポツリポツリと呟くように高校生の時に経験した苦い恋物語を私に話してくれた。


親友だと思っていた友達に彼女を寝取られていた事を、ふたりの情事を偶然目撃するまで知らなかった事を──


騙されていたと心が抉られるほどに辛かったと語った。



(そんな…私なんかよりももっと辛い想いをこの人は)


彼の話を訊き終えた私は、先ほど彼が私にしてくれた事と同じ事をした。


「! お嬢様?」
「…ごめんなさい…辛い話をさせてしまいました」
「いえ、いいんです…もう八年になりますから…すっかり吹っ切れています」
「…」
「もう吹っ切れているから俺は……あなたに恋をした」
「あ」


チュッと軽く唇にキスをされた。


「お願いです、俺と…付き合ってください」
「!」
「大切にします。あなたを…あなただけを愛して…大切にします」
「…あ」


再び唇に落とされた温かなキスは私の心の奥にポッと淡い光をを灯した。



(私だけを愛してくれる…そんな人がいるなんて知らなかった)



失うばかりだった私が今度は与えられる方の人間になるのだと思ったらとてもふわふわした気持ちになった。



「返事…教えてくれませんか?」
「……あの…教えてください」
「?」
「…あなたのお名前は、なんと仰るのですか?」
「────あ」


そう。


私は彼の名前を知らずにセックスをして告白されたのだ。



「ヤバッ…俺、名乗ってなかった!すみません、俺は牧野 楓(マキノ カエデ)と云います、あの…だからよろしくお願いします!」
「…かえで…さん」


お花屋さんの息子だから植物の名前なのかな?と一瞬思ったけれど


「素敵な名前」
「…あ」


思わず呟いて楓さんの頬を引き寄せ私の方からキスをした。


「…私を…楓さんの彼女にして下さい」
「っは、はいっ!」


ほんのり頬を高揚させながらそう云い、楓さんは子どものようにはしゃいだ。



私はこの光景を一生忘れる事がないだろうと思ったのだった。


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