茜色の日々 7話



深夜に帰宅した群司さんの様子が変だった。

「茜、今日は何処に行っていたんだ」
「あ…あの…実家に…」
「何をしに」
「何をって…何も…ただ単にお父さんとお母さんの顔を見に」
「…」
「…群司さん?」

こんな群司さんを見たのは初めてだった。


外出はいつもしている。

友だちに会ったり買物をしたり、そんな私の話を群司さんはいつも愉しそうに訊いてくれた。

(其れなのに今日に限ってどうして)


「夕方、お義父さんから電話をもらった」
「え」

群司さんの其のひと言で厭な予感がした。

「茜から働きたいと相談を受けた。以前茜と見合いした山科という男が話をつけてくれて事務のパートとして雇えるかも知れない、と」
「あ…」
「なぁ、これ、どういう事?なんで働きたいって…昔の見合い相手の工場にパートって…どういう事だ」
「あの…群司さん」
「茜は…そんなに外に出たいのか?」
「えっ」
「家で、俺のために主婦業をこなすだけの人生はまっぴらだって、そう思っているのか!」
「キャッ!」

いきなり群司さんが凄い力で私の着ていた服を破いた。

「どうして、どうしていきなりそんな!」
「や、止め…あっ」

私の着ていたもの全てを剥ぎ取り、露わになった秘所に性急に群司さんは自身を押し込んだ。

「ぃ、いやぁぁぁ──や、あっあっぁ」
「くっ…うっ」

乾いている私の中を無理矢理冒して行く。

抜いては押し込み、そして微量の愛液を器用に塗りたくり、また押し込んで行く。

「あっ、んっ、んっん…あぁっ」
「どうして…」
「…」

痛みを伴った挿入が私の最奥で止まった時、群司さんはか細い声で呟いた。

「どうして…俺の事を…愛しているって…其れは嘘、だったのか」
「…群、司さ…ん」
「大事に…して来たのに…本当なら外にだって出したくなかった…ずっと家に閉じ込めて…俺だけしか見ないようにしたかったのに…」
「!」
「俺の事…厭になったのか…茜」
「…」

私はこの時になってようやく思い出した。


『俺の稼ぎだけで生活して、美味しいものを毎日食べさせてくれる女性を嫁さんにしたいと思っていました』


初めて群司さんと逢ったあの見合いの日。

群司さんは私にそう云っていた。

(わ、私…なんて事を──!)


「茜…茜」
「群司さん、ごめんなさい!」
「!」
「私…私、馬鹿だった!群司さんのためにと思っていた事が、本当は見当違いだったんだって事に今、気がついた」
「…茜?」
「私、群司さんのために何か出来る事はないかってずっと考えていて…毎日忙しい群司さんを少しでも楽にさせてあげたいと思って…だから私も働いてお金を稼いで、仕事のペースを落とせてもらえたらって考えて父に…仕事を紹介してもらおうと思ったの」
「…」
「工場の件は…あの、確かに昔の見合い相手の伝手で頼んだけれど…其の人は私を外見で断った人じゃなくて本当に私の幸せを願って見合いを断った人で…あの人のお蔭で私は群司さんと出逢えて今のこの幸せを手に入れられた訳でそんな決して変な気持ちで接した人じゃなくて!」
「あ、茜…」
「え」
「…もう少し…落ち着いて喋って…」
「え」
「中が…腹圧がかかって…ちょっと」
「…」

群司さんが少し辛そうにしているのはどうしてだろうと、よく解らなかった。

私の中からモノを抜いた群司さんは、はぁとため息をひとつついて其の場で胡坐をかいた。

「茜、話、ちゃんと訊かせて」
「…はい」


私は独りよがりに考えていた事を恥ずかしく思いながらも群司さんに包み隠さず全てを話す事にしたのだった。

茜色

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