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Dizzy Love 19話



「翔の母親の翔子はこの家の住み込み家政婦の孫娘だった。両親がいなくて家政婦だった祖母と二人で暮らしていたの」


(え…祖母とふたり暮らしって…)


なんとなく私と境遇が似ているなと、ふと思った。


「翔子は諒より三歳下で、歳が近かったからふたりはいつも一緒にいた。私もそんなふたりを微笑ましく思っていた──ただ諒は翔子にだけは私たちとは違った態度を取っていたの」
「違う態度?」
「翔子にはとても尊大な態度だったの。いわゆる偉そうな暴君…みたいな」
「!」
「諒は私や母、其れに自分に群がって来る女たちにはとても優しく柔和で、其れは其れはとても素敵な好青年振りを発揮するのだけれど、翔子にだけは何故か態度が冷たかったの」
「其れは…どうしてですか?」
「後になって知ったのだけれど、翔子に見せていた諒が本当の諒だったの。本当の諒は我侭で傍若無人で尊大で…だけど諒の其の性格は世間を上手く渡って行くにはマイナスにしかならないと本能的に知っていたんでしょうね。諒は本当に…本当に自分を好きでいてくれる相手にしか真実の自分を見せていなかったみたいなの」
「!」
「本当の自分を見せても其れでも自分を好きでいてくれるたったひとりを求めていた。そんな諒が見つけたのが翔子だった」
「…」


(まさか…)


諒さんが私の時に取っている態度が偉そうで…尊大だったのって…



まさか──



「どうしたの、典子ちゃん」
「! あ、い、いえ…」


今は麗子さんの話の続きが訊きたくて一旦自分の事は置いておく事にした。

「そして事が大きく動いたのが諒が17歳、翔子が14歳の時。翔子が諒の子どもを妊娠したの」
「!」
「私たちはビックリしたわ。だって諒は絶対に子どもを作るような寝方をしなかった。ましてやまだ14歳だった翔子に対してそんな事をするなんて…」
「…」
「だけどふたりは真剣に結婚を考えていて、愛し合った結果の妊娠だと云っていた。でも翔子はまだ14歳で成熟しきっていない体での出産はかなり危険だと医師から云われた。だから父も母も私も堕胎した方がいいと云ったの。だけど翔子がどうしても折れなくて…『諒ちゃんと家族を作る』と云って聞かなかったの」
「…家族」
「ふたりとも本当の意味で家族には恵まれていなかったから…そういう気持ちが強かったんでしょうね。そんなふたりの気持ちを汲み取って私たちは仕方がなく赦してしまったの…翔子の出産を」
「…其れで…翔子さんは…」
「……」


一瞬にして暗い表情になった麗子さんの顔が答えだった。


「翔子の命と引き換えに翔が産まれた。諒は酷く後悔していたわ…どうしてもっと…翔子が大人になるまで待てなかったんだって」
「!」
「諒は一時の感情で盛り上がってしでかした行為をとても後悔していて…其の時の悲壮な諒の姿は未だに脳裏にこびり付いているわ」
「…りょ…諒…さん」


私の中で全ての事が一本に繋がった瞬間、後から後から涙が零れてしまって堪らなかった。


諒さんが云っていた『大人になる』という本当の意味が今になって解った。


大人になると事はセックスの経験有無なんかの事じゃなかった。


──もっと心も体も大人になるって事


諒さんが愛する人にしてしまった愚かな行為と冒してしまった過ちを繰り返さないために散々私に云って来たのだ。


翔子さんの二の舞にはしたくないと思っていた翔さんの気持ちを私は…


(私は間違ってしまった!!)


「! どうしたの?典子ちゃん」
「麗子さん…わ、私…ど…どうしよう…」
「え」
「私…りょ…諒さんを…諒さんを裏切って──」
「典子ちゃん?」


この気持ちを誰かに訊いてもらいたくて…


そして『馬鹿だ』と叱ってもらいたくて私は麗子さんに全てを話した。


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