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初恋はまだ 1話



私の家はいわゆるお金持ち──という部類に入る家だった。

私の父が滝沢グループという大企業の社長という立場である事から、自然と私には『お嬢様』という肩書きが付くようになっていた。

だけど別に私が偉いんじゃない。

父が偉いだけの話だ。

私自身、お嬢様という肩書に満足している訳じゃない。

だけどそんな私の心情を解ってくれる人はほとんどいなかった──



「杏香、待てよ!」
「…」
「なんで急に別れるだなんて…そんな事云うんだよっ」
「──ごめん」
「え」
「ハッキリ云わなかった私が悪かったわね。私、あんたが友だちに『杏香とは金目当てで付き合っている』って話しているの聞いちゃったの」
「なっ!」
「私はね、其処までしてあんたと付き合いたいとは思わない」
「…」
「最初っから私の事、好きじゃなかったなら断ってくれてよかったのに」
「…」
「単に私が金持ちの娘だからって…ただ其処だけで付き合ってくれていたんだね」
「~~~」

彼が何も云い返せず其の場に立ち竦んでいるのを見て、私は彼の元から去って行った。


(たまに私から告白してみればこの有様、か)

ふぅ、とひとつため息をつくと、ポンッと肩を叩かれた。

「!」
「なんだ、またフッたのか」
「…潤ちゃん」

今、一番逢いたくない人物に声を掛けられてしまった。

(まぁ、帰る方向が同じなら逢ってしまうのは仕方がないんだろうけど)


彼は滝沢 潤(タキザワ ジュン)

私との関係は同い歳の叔父と姪──というものだった。

つまり私の父の歳の離れた弟という位置にいる人。

──そして

「杏香はなんでそんなに男をとっかえひっかえするんだよ」
「したくてしてるんじゃないもん」
「あんま派手に遊ぶんじゃないぞ。おまえ、一応お嬢様なんだからさ」
「! そんなの…私が望んだ事じゃないもん!」
「…」
「あ…」

何も悪くない潤ちゃんにつっかかってしまった。

「──なぁ、久しぶりに家に寄って行かねぇ?今日、母さん仕事休みで家に居るって云ってたし」
「…ううん、今日は止しておく。典子さんによろしく云っておいて」
「そっか…」

其れは嬉しい気遣いだったけれど、今の私にとっては辛い誘いだった。

「潤ちゃんは今日、ひとりなの?──彼女と…一緒じゃないんだね」
「あーだから母さんが休みだからさ、こういう時は」
「…相変わらずお母さんっ子だね、潤ちゃん」
「煩い!別にマザコンって訳じゃないからな」
「解ってるよ、お母さんの事、大事なんでしょ」
「…ふん」
「…」

だから知っているって。

潤ちゃんが親想いな事も

彼女の事も大切にしている事も

ちょっとぶっきら棒で口は悪いけれど、優しくて頼りがいがあるって事も

そして

(私の事はただの姪としか見ていないって事も…全部知っているんだよ)


私、滝沢 杏香(タキザワ キョウカ)17歳。

小さい時から滝沢潤の事が好きだった。

だけど潤ちゃんは私の叔父。

叔父という人に恋をしても、其れは【恋】としてカウントしてはいけないのだ。

だから

──私の初恋はまだ、なのだった

初恋はまだ
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