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Darling Sweeper 11話



内野宮さんが私の家に来る──


なんとなくそういう流れになってしまって駅から電車に乗って6駅。


駅から徒歩8分程の二階建てアパートの2階。


部屋の前で鍵を開けようとした瞬間、いきなり気がついた。


「あっ!」
「どうした」
「……」


(し、しまった…)


今…部屋の中って確か──


「問題発生?」
「えっ?!」
「別に気にしないけど」
「……」


今更内野宮さんにどう思われてもいいのかなと思った。


最初から素に近い自分を晒して来たつもり…だったから。


(……)


私は意を決して部屋のドアを開けた。



「………」
「……」


(ど、どう、どうしよう…)


部屋の中に入った瞬間から内野宮さんが動かない。


(微動だにしないんだけど…大丈夫かな?)


「……おい」
「は、はい!」
「……此処は…ゴミ屋敷か」
「えっ?し、失礼な!れっきとした私のお城で──」


話途中でいきなり凄い形相をした内野宮さんに両頬をギュッと掴まれ伸ばされた。


「い、い、いひゃぁい~~」
「痛いのは俺の心だ!仮にも清掃業界大手のナギノクリーンカンパニーの社員の部屋がこんなにだらしがないとは何事だ!!」
「ひゃぁぁぁ~~」


(だらしがないって云い過ぎじゃない?!)


朝、食べたままの食器をテーブルに放置していたり、シンクに使用済みの食器が溜まっていたり、洗濯したものを畳まずに山になっていたり、溜まった雑誌は手の届く範囲にとテーブル周りにあちこち配置してあったり、収集日を忘れててつい出しそびれているゴミ袋が5つほどある…ってくらいの事で──


「…おまえ…掃除が出来ないのにも限度があるぞ…」
「先刻、気にしないって云ってたのにぃ~~」
「だから俺の気にしない限度以上だったって事だっ!」
「ひっ!」
「──もういい」
「え」


急にふぃと私から放れると、いきなり着ていたジャケットを脱いだ。


「内野宮さん?」
「おまえ邪魔。外に出ていろ」
「えっ」
「10分…いや7分でいい、出ていろ」
「なんで…ちょ、内野宮さ──」


内野宮さんは私に有無をいわせずに部屋の外に放り出してしまった。


「…」


外に出てからしばらく、部屋の中からちょっとした物音がしたけど其れはすぐに治まった。


(…も、もしかして)


私の頭の中では恐ろしい想像が渦巻いていた。


そして───


カチャ


「あっ」
「──入れ」


時計で時間を見ていなかったので7分経ったかどうか解らなかったけれど、外に出されてからそんなに時間は経っていない様に思えた。


「…お邪魔します」
「何云ってんの?此処、恵麻の部屋」
「あっ…そうでした…」


さり気なく呼ばれた名前もあって私は一気に赤面してしまった。


「……え」


部屋の中に入って今度は私が動けなくなってしまった。


「普段からこういう部屋にしておけ」
「……ふわぁ」


其処はほんの数分前までのだらしがなかった部屋とは思えない程綺麗な部屋になっていた。


部屋の中にあったものは何ひとつ減ってはおらず、ただきちんと整理整頓してあるべき場所にあるだけ。


たった其れだけなのにものすごく印象が違って見えた。


「食器もピカピカ」
「水やお茶を飲んだ程度のコップや湯のみは飲み終わった都度、サッと水洗いしておけ。洗い物として溜めておくとすぐにシンクスペースがなくなる」
「……はぁ」
「あと、おまえ下着を洗濯する時ちゃんとランジェリー用の洗濯ネットに入れているか?」
「は?なんですか其れ」
「…やっぱり使ってねぇな。これ、ブラジャーのワイヤー部分が歪んでいるしレース部分が解れて来ているぞ」
「! きゃぁぁぁ!!な、なんでそんなものまで!!」


内野宮さんが私の下着を手に取っているのが猛烈に恥かしくて慌てて奪うように取り返した。


「洗濯物畳んだら触るだろう!変な勘ぐりするな!」
「うぅぅぅ~は、恥かしい~~」
「──俺だって恥かしい」
「…え」


内野宮さんの方を見ると其の顔は少し赤くなっていた。


「…そんなもの…厭というほど見慣れているはずなのに。なのに…おまえのだって思っただけで──」
「…内野宮さん?」
「──其処、座れ」
「は」
「話するから其処に座れと云っている」
「は、はい」


此処は私の部屋なのに、何故か完全に内野宮さんが主導権を握っているなと思った私だった。


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