スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Darling Sweeper 13話



『今夜はこれで帰る。これ以上居たら俺、おまえに何するか解らないから──』


そう云い残して内野宮さんは帰って行った。


内野宮さんから告白をされてすごくビックリした。


ビックリしたけれど、心の大半は【嬉しい】という気持ちが大きかった。


だけど…どうしても『付き合います』とは即答出来なかった。


あの夜のホテルでの事。


内野宮さんの本当の仕事の事。


女性関係の事。


そんな色んな事が少しずつ節になっていて素直に内野宮さんの告白を受け入れる事が出来ないのだった。


(…多分…私は内野宮さんの事…好き…なのに──)


元々恋に対しては潔癖だったのかもしれない。


其れは父の…


父の再婚の事が未だに私の心の奥で何層もの澱となって溜まっているからかも知れない。


(好きなのに…辛い)


私は其の夜、なかなか寝付く事が出来なかった。







「ち、遅刻するぅぅぅ~~!」


案の定、寝坊した私はダッシュで会社に向かっている。


(あぁ、もう!ただでさえ研修の事で頭が一杯なのに!考える事が多過ぎ!!)


最寄り駅から会社に向かって走る。


すると歩道側にいきなり黒塗りの車が横付けされた。


(?!)


私は少しだけペースを落として其の車の方を見た。


すると


「恵麻ちゃん」


車の窓ガラスが開き、中から社長が顔を覗かせた。


「社長!」


私は慌てて頭を下げて挨拶した。


すると社長は手招きをして私を呼んだ。


「乗りなさい」
「えっ?!け、結構ですっ」
「いいから乗りなさい、どうせ行く処は同じなのだから」
「でも…」
「社長命令」
「!」


にっこりと微笑みながらも言葉の端に威圧的な迫力を感じ絶句する。


結局、躊躇いながらも車に乗せてもらう事にした。


(わぁ…上品な車内)


決して華美ではないシンプルな内装だけれど、とても品のいい感じがした。


なんだか乗っている人の性格が出ているみたいでちょっと笑みがこぼれた。


──しかし


「あの…社長」
「ん?」
「社長は…ご自分で運転されているのですか?」
「えっ、してない様に見える?!」
「いえ、見えるから驚いてて」
「どういう意味?」
「普通会社の社長さんって運転手つきの車に乗っているじゃないですか」
「其れが君の考える社長像?」
「…はぁ」
「はははっ、そうか、多分其れが一般的な考えなんだろうねー。わたしの方がおかしいのかな」
「そんな事は」
「自分で出来る事は自分でする。其れだけだよ」
「……」
「社員が汗水垂らして稼いでくれたお金をわたしが乗る車を運転するだけの人に払いたくないじゃないか」
「…はぁ」


(なんだか…)


考え方が根本的に普通の【社長】という種類の人とは違うんだろうなと思った。


「…ふふっ」
「? なんだい」
「い、いえ…」


つい可笑しくて笑ってしまったけれど、そういえば昔よく私と弟を構ってくれた奈木野さんという人はこういう人だったなと思い出したのだ。


「今日は寝坊でもしたのかな?随分と遅い出勤だね」
「あーえっと…はい。色々考え事をしていたら…寝付けなくて…」
「考え事…研修の事?」
「其れもありますけど…他の事も…少々」
「そうか…恵麻ちゃんも年頃だもんねぇ…色々悩みもあるんだろう」
「!」


なんだか私の悩みを知っている様な口ぶりにドキッとした。


(流石社長…相手の口ぶりや表情から何かを読み取る能力でもあるっぽい)


そんな下らない事を考えてしまった。



しばらく経って本社ビルの社員用駐車場に着いた。


「本当にありがとうございました」
「いやいや、短い間だったけれど恵麻ちゃんとドライブ出来て嬉しかったよ」
「…ははっ」
「ねぇ、恵麻ちゃん」
「はい」
「今度…もしよかったら時間、取れないかな?」
「え?」
「積もる昔話もあるし、悩んでいる事の相談にも乗れたらいいなと思って。食事でもどうかな?」
「あ、はい。私なんかでよかったら」
「恵麻ちゃんだから誘っているんだよ」
「?」
「いや、其の…時間が調整出来たら連絡するから、あっ、連絡先を訊いてもいいかな」
「はい」


其の場で私達は携帯の番号を交換した。


社長とこういう事をするなんて想像もしなかったけれど、どうしても社長というよりも昔の奈木野さんというイメージが強くて、私は一緒に食事出来る日が待ち遠しいと思ったのだった。


00000a31.jpg

★ランキングサイトに参加しています。
其々1ポチいただけると色んな意味で励みになります♪
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。