Darling Sweeper 14話



いつも通りの研修作業に汗を流した。


今日は主に掃除の実習講義でとても体力をつかった。


「あー暑いっ!まだ6月前なのになんでこんなに暑いのぉぉー!」
「いや、5月でも暑いよ?最近は」


私は亜里沙と共に疲れた体を引きずってシャワー室に向かっていた。


「そういえば今日詠二、休みでしょ?風邪だって云ってたけど」
「えっ、風邪?昨日はあんなに元気だったのに」


そう、今日詠二は休みだった。


私は亜里沙から詠二が休んだ理由を今、訊いたのだ。


「あれ、恵麻にはメールなかった?あたしなんて朝の早い時間にメールあってさぁーなんか声が出ないから欠勤理由伝えておいてって頼まれたんだよ」
「そう…なんだ」


(詠二、私のメアド知っているのに)


なんで亜里沙だけにメールしたんだろう。


「多分、心配させたくなかったんじゃない?」
「え?」


急に亜里沙が私の顔を窺う様に云った。


「いや、なんか恵麻、なんで私にはメールないの?!って顔していたからさ」
「そ、そんな顔していた?」
「してた──ねぇ、詠二から告白されたんでしょ?」
「えっ?!」
「…ごめん。あの、さ…結構前から詠二に相談されていたんだよね…恵麻の事」
「そうなのっ?!」


私の知らないところでそんな事があったなんて知らなかったからとても驚いた。


「うん…なんかあいつ、ずっと男子校でしかも体育会系だったみたいで恋愛に関しては全然ダメなんだって云ってさ。だけど恵麻の事、本気らしくて…どうしたらいいかって相談されていたんだ」
「……」
「なんとも思っていない子には気軽に接する事は出来るけど、好きな子には──恵麻にはどうも自分らしく接する事が出来ないって悩んでいた」
「…そう」
「あたしがいうのもおかしな話だけど詠二、いい奴だよ?絶対恵麻の事、泣かせたりしないと思う」
「…」
「だから…少し詠二の事、考えてやってくれないかな」
「…亜里沙」
「勿論、恵麻の気持ち最優先だけどね。同情で付き合っちゃいけないとは思うけど…男と女って付き合ってみなくっちゃ解らない事ってあると思うしさ」
「──ありがとう」
「ん?」
「親身になってくれて。詠二と私、両方の心配するのは大変でしょ?」
「そんな事ないよ。あたし、自分が幸せな時は気持ちに余裕があるから誰彼構わずにお節介焼くの」
「ふふっ、そうなんだ。あのスーツの彼と上手くいっているんだね」
「そうそう!ちょっと訊いてくれる?!あのね──」


亜里沙と彼の惚気話を訊きながら私は考えていた。


詠二はそういう人だったんだと。


イメージどおり誠実で真面目で一本気な…


多分結婚するなら理想の人なんだろうなと思う。


(まぁ、付き合う前からこういう事考えちゃダメなんだろうけど)


詠二と内野宮さん。


正反対のふたりからの告白に、私は未だになんの結論の糸口を見つけ出せないでいた。




仕事が終わってから私は亜里沙から聞いた詠二の家に向かっていた。


お見舞いくらいいいだろうと思い、食べやすいものをいくつかコンビニで買って、携帯の地図機能で場所を確認していた。


「あ、此処だ」


住所と其の場所のマンション名が一致したので私は其のままエントランスに入っていった。


どうやらオートロック式みたいで、部屋番号を入力しなければいけないようだった。


(えーっと、302と…)


ボタンを押すと『キンコーン』という音が鳴った。


「……」


だけど数秒、数分経っても応答がなかった。


「…?」


私はもう一度ボタンを押した。


またチャイム音が鳴った。


だけどやっぱり応対はなくて


(もしかして寝ているのかも)


そう思い今日は帰ろうと思った。


──瞬間


ガーッという音と共にドアが開いた。


「あ…」


中に入れるという事は詠二が開けてくれたんだと思った。


(あ!そういえば詠二、声が出ないって亜里沙が云っていたよね)


其れを思い出して私は躊躇いつつも、開けてくれたドアをくぐって詠二の部屋へ向かったのだった。

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