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Darling Sweeper 15話



詠二の部屋の前でインターホンを鳴らした。


すると直ぐにドアが開いた。


「あっ」
「───」


マスクをした詠二が顔を覗かせた。


「詠二、大丈夫?!と、突然来ちゃってごめ──」


私が詠二に話しかけるといきなり目の前に大きなスケッチブックが出された。


其処には


【見舞いに来てくれてありがとう!だけど今オレ、声が出なくて満足にもてなしが出来ない。しかも恵麻に風邪がうつるとイヤだから今日はここで勘弁して】


と、マジックで走り書きされていた。


「……」


多分私がエントランスから此処に来るまでの間に書いたのだろう。


急いでいたというのが其の字を見れば一目瞭然だった。


突然の来訪に、しかも風邪で体が辛い時にそんな気遣いが出来る詠二に私はとても優しい気持ちになった。


「いきなり来た私が悪いの。でも詠二の顔が見れて良かった。これ、お見舞い。良かったらどうぞ。じゃあ私帰るね。お大事に」


其れだけを告げてマンションを後にした。


意外な事で詠二の一面を見られた。


其れだけでも私は今日、此処に来て良かったなと思った。



駅に着く頃にメールの着信音が鳴った。


見ると詠二からだった。


【恵麻が見舞いに来てくれるなんてオレ、幸せ過ぎて死にそう!いや、死んじゃダメだから早く風邪治して元気になる!元気になったら一緒に遊びに行ってくれる?】


「ぷっ、詠二ったら…すっごく元気じゃない」


私は笑いが込み上げて来て仕方がなかった。


【いいよ、元気になったら遊びに行こうね】


そう返信した。


きっとすぐにまた返信が来るだろう。


多分物凄い大げさな喜びを表現した内容で。


私の其の予想が当たったのは3分後の事だった──





(明日は土曜日で休みだから少し部屋の掃除をしようかな)


そんな事を考えながらアパートに帰って来ると、部屋の前に誰かがいるのが見えた。


(え?)


「よう、お帰り。遅かったな」
「内野宮さん?!」


今日一日会社で見掛けなかったからホッとしていた私だったけれど、今この場所で内野宮さんと顔を合わせて一気に緊張感が高まった。


「ごめん、いきなり来て」
「い、いえ…」


そうは云ったものの、部屋の前に待っているとかって──


「なんかストーカーっぽいよな、俺」
「えっ!そ、そんな事──」


一瞬チラッと頭の中を過ぎった事を見透かされた様で驚いた。


「いや、気持ち悪いって思われるの承知。でも俺、受身じゃいられないから」
「え…」
「俺は恵麻を俺のものにするためには積極的に行動するって決めたんだ」
「…内野宮さん」
「──って訳で、飯食べない?」
「え?」
「晩飯、もしかしてもう食べた?」
「いえ…まだです」
「よかった、じゃあこれ」
「!」


内野宮さんの手には大きな買物袋が提げられていた。


「晩飯、作ってやるよ。だから部屋、上がらせて?」
「えぇぇ!」


いきなりの申し出に私は戸惑った。


昨日の今日で、連日内野宮さんを部屋に上げるのはどうなのかと思ったけれど


「俺特製の豪華シーフードパスタ、食べたくない?」
「………」


神様…


(どうして私を食いしん坊設定にしたのですか!!)


私はこの誘惑にまんまと負ける事になったのだった──

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