Bitter&Sweet 2話



20歳の私に突然降って湧いた見合い話。

しかも其の相手は父の友人であり恩人の男性。

今は独身だけれど離婚歴があった。

父を始め、私たち一家がとてもお世話になった人からの申し出を断る事が出来ず、一度逢うだけなら──という事で渋々お見合いをする事になった。



「伊志嶺源治です」
「…竹井由梨子、です」

ホテルのレストランで会食というスタイルで始まったお見合い。

形式ばったお見合いではないために仲立ちする人もなく、伊志嶺さんの方には誰も付添人がいなかった。

「由梨子、そう緊張しないで。ただの食事会と思えばいいんだから。ねぇ、伊志嶺くん」
「…あぁ」

私の方は父が付添人として来ていて、私と伊志嶺さんの間を仲介する様に最初から喋りっ放しだった。

「…」

初めて見た伊志嶺さんの第一印象は──【怖そう】だった。

父と同世代──父よりも3歳年下の42歳。

私とは22歳も違う男性だ。

背が高く体格のいい伊志嶺さんは口数が少なく、必要最低限の事しか話さなかった。

しかも

(私と目を合せようとしない)

常に仏頂面で其方から見合いを頼んで来たくせに其の態度はないんじゃないの?!と思わず思ってしまうほどに其の表情は硬かった。

「伊志嶺くんとお父さんは大学時代の先輩後輩でな、其の頃の伊志嶺くんは──」
「…」

正直おじさん達の昔話を訊いても楽しいと思える事は何ひとつなかった。

私にしてみれば父親と同世代のおじさん──という印象しかない。

逢うまでには多少何か色めき立つ想像もしていたけれど…

やっぱり実際会っても【恋人】というよりも【父親】というイメージの方が近い男性だった。

(こんな人に恋愛感情を持つなんて…絶対有り得ない)

私の其の思いは至極当たり前の思考だと思うのだった。






「はぁ…」

つまらない席を抜け出して化粧室で時間を潰した。

(お腹を壊してずっと座っていたとでも云おう)

かなり時間が経ってからレストランに戻ると席には誰もいなかった。

「?」

しばらく佇んでいると後ろから声を掛けられた。

「お客様、お連れ様から此方を預かっています」
「あ、どうも」

レストランのスタッフらしき人から手渡されたのはメモだった。

其処には父の字で部屋を移して続きをする──という様な主旨の事が書かれていた。

(続きをってお見合いの?お酒でも飲んでまた昔話に花を咲かせるつもりなの?)

私は先に帰るにしても一応ひと言云っておくべきだろうと思い、メモに書かれている部屋まで行く事にした。

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