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2018.02.07 (Wed)

Darling Sweeper 9話



『研修で同じグループになった時から気になっていたんだ…思い切って話しかけて…友だちになってから恵麻の事を知れば知るほど好きになっていって…だからオレと、オレと付き合って欲しい』


「…はぁ」


昼間詠二から告白された。


友だちだとずっと思って来たから、私は詠二の告白を直ぐに受け入れる事が出来なくて


『あ、あの…いきなり云われても…其の…あの…』
『うん…戸惑う気持ち、解るよ。ごめん、いきなり…でもオレ、本気だから』
『…』
『返事、待つよ。一度オレを友だちとしてじゃなくて男として見て…其れで返事くれない?』
『…解った』


そういう流れになってからは今まで通りのやり取りに戻ったけれど…


(詠二を男として)


…見れるかな?


そりゃいい人だとは思う。


優しいし、明るいし、グループ内でもムードメーカーっていうか…


人気あるって感じだけれど…


友だちとして振舞いながら男として見れるのだろうかと思ってしまう。


「…はぁ」
「2回目」
「えっ」


俯いて歩いている私の視線に影が陰る。


慌てて顔を上げてみれば其処には


「う、内野宮さん…」
「おまえなぁ、ため息つくなよ。幸せ逃げまくりだ」
「……」


(私服って事は内野宮さんも業務が終わったのかな)


「あ、あの…さようなら」


辛うじて其れだけを告げて内野宮さんの脇を通ろうとした。


──が


「ちょい待ち!」
「!」


ガッと肩を掴まれビクッとした。


「あ、あぁ、悪い。別に変な事しようと思った訳じゃない。其の…よかったら晩飯…食いに行かないか?」
「…え」
「勿論アルコールなしの純粋に晩飯。色々迷惑かけたお詫びに…奢らせて」
「……」


どういう風の吹き回しだろうと思った。


ほんの少し頬を朱色に染めて目線を泳がせて喋る内野宮さんは、私の中にあった厚顔無恥なイメージを払拭するものだった。


「行こう」
「……は、はい」


どうしてついて行ってしまったんだろう──


其の理由は…解っている様でまだ解らない不可思議なものだった。




「…」
「あ、ダメか?こういう処」
「い、いえ、平気です」


内野宮さんに連れられて来たのは下町などでよく見かける古ぼけた老舗風の定食屋だった。


土木作業員が数名どんぶり飯をかき込んでいる風景やら、壁に貼られた茶色く色褪せたメニューの紙とか映らないブラウン管のテレビとか…


独特の雰囲気漂う中、向かい合って私と内野宮さんは座っていた。


すると厨房からおばさんが出て来て私たちの元に来た。


「いらっしゃい、要くん」
「おぅ、おばちゃん、久し振り」


(かなめくん?)


「おや、なんだい今日は可愛い子連れて来て~コレかい?」


食堂のおばさんはそういいながら小指を突き上げた。


(コレってなんだろう?小指?)


「あー残念、違うんだなぁー……まだ」
「おや、そうかい、ひっひっひっ」
「??」


若干会話が見えなくて首を捻っていた私におばさんは「何食べるかね」と訊いて来たので、私は「おススメはなんですか?」と返した。


「おススメかぃ…おススメは全~部、なんだけどねぇ…全部食べられるのかい?」
「えっ!そ、そうなんですか?!じゃ、じゃぁじゃあ…」
「煮魚定食にするといい」
「え?」
「毎日其の日獲れたての魚を使っているから魚料理が美味い。まだあるよな?おばちゃん」
「ギリギリセーフじゃな」
「じゃあ煮魚定食、お願いします」
「要くんも同じでいいんかい?」
「あぁ」
「毎度」


注文を訊き終えておばさんは厨房に入っていった。


(なんだか不思議な感じだ)


「…何、俺の顔に何かついてる?」
「あ…いえ、内野宮さんって要っていう名前だったんだなって」
「あれ?云ってなかったっけ」
「はい、初めて知りました」
「俺はおまえの名前知ってるのにな」
「…え」
「恵麻」
「!」


一気に心臓が大きく飛び跳ねて血流が増えた気がした。


たかが名前を呼ばれただけで


内野宮さんに呼ばれただけなのに


どうしてこんなに体中が熱くなるのだろう?


詠二には感じなかった感情が体中を廻ってやるせない気分になった私だった。


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