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2018.02.06 (Tue)

Darling Sweeper 8話



社長から励ましの言葉をもらってから数日──


私は今まで以上に研修に力を入れる毎日を送っていた。



「弱アルカリ性で研磨作用のある重曹には使用出来ないものがあります。其れはなんですか?──住吉さん」
「はい、アルミには使用出来ません。黒く変色してしまうので使用には注意が必要です」
「そうですね。では次に──」



「最近調子いいね、住吉さん」
「そうかな?ちょっとだけ勉強を頑張っているだけで…」
「相変わらず実技はまだまだだけどねー」
「うっ、亜里沙…キツい~~」
「そうだぞ、住吉さんは頑張っている!」
「…梅原さん」


いつものお昼休み──


私達は今日も三人で社食に向かっていた。


「あーあ、詠二の恵麻贔屓には口から砂糖出そう」
「なんだよ、其れ」
「いい加減ずっと思っている事、云えばぁ?」
「なっ!」
「? 何、梅原さん、私に云いたい事があるの?」
「あ…いや…其のぉ…」
「あっ!あたし今日彼と一緒にご飯食べるからーじゃあねぇー」
「えっ、亜里沙…?」
「…」
「ねぇ梅原さん、亜里沙って彼氏がいたの?いつの間に?…あっ、あれがそう?…スーツ着ているって事は営業課か事務か…」
「あ、あの!」
「っ、はい?!」


急に大きな声で梅原さんに声を掛けられたのでつられて私も大きな声で答えてしまった。


「…あの…あの…」
「どうしたの?梅原さん」
「名前…名前…」
「名前?」
「……住吉さんの事…名前で、呼んで…いい?」
「名前?…あぁ、呼び方?勿論いいよ」
「! ほ、本当?!」
「うん、なんだーもっと凄い事云われるかと思っちゃった」
「…もっと凄い事」
「うん、名前くらいいくらでも──」
「恵麻」
「!」


いきなり梅原さんが私の名前を呼び捨てにしたから驚いた。


「わぁ…新鮮だなー今まで苗字呼びだったから急に──」
「──オレと…付き合って?」
「……え」


話途中で急に内容が変わった。


私が梅原さんの顔を見ると、急に腕をグイッと引っ張られて食堂とは逆方向の廊下へ歩き出した。


「ちょ、ちょっと…梅原さん?」
「ごめん、ちょっと付き合って」
「…」


(あぁ、先刻の『付き合って』って、何処かに付き合ってという意味だったのか)


ほんの少しドキッとしてしまった事を恥ずかしく思いつつも、梅原さんの後について行った。




梅原さんに連れて来られてのは屋上だった。


社屋の屋上はちょっとした屋上庭園になっていて、とても綺麗に整備されていた。


お昼の早い時間、其処にはまだ誰もいなかった。


「わぁ…屋上ってこんな風になっていたんだ」
「初めて来たの?」
「うん、屋上ってそんなに来る機会ないじゃない?」
「……」
「わぁー遠くまで見れるんだーねぇ、梅原さん、あれって──」
「名前」
「え?」
「オレの事も…名前で呼んでくれないかな」
「梅原さんの…名前」
「詠二」
「あっ…いきなり呼び捨てっていうのは…」
「いいんだ、呼び捨てで呼んで欲しい、恵麻の声で、オレの名前を」
「…」


なんだか梅原さんがすごく必死に云うから、あまり遠慮するのは申し訳ないかなと思い、私は其の要求を素直に受け入れた。


「…うん、解った。じゃぁ…詠二、これからもよろしくね」
「! あ、あぁ!ありがとう!!」
「ふふっ、喜びすぎ」


(名前を呼んだだけなのにこんなに喜ぶなんて)


私はお互いが名前呼びする程仲良くなれた事が嬉しかった。


亜里沙もそうだけれど、詠二ともそういう気心の知れた友だちになれたのかな、と──そう思っていた。


「…あ、あのさ、恵麻」
「なぁに?」
「オレと…付き合って!」
「えっ?付き合っているよ、今」
「ち、違う!そういう付き合ってじゃないよ!」
「?」
「…まさかと思っていたけど…相当ニブいのな…恵麻って」
「えっと…」
「オレが云っているのは…オレの彼女になって欲しいっていう意味の…付き合ってだよ」
「──え」



友だちだと思っていた人からいきなり告白されてしまいました。


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