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2018.02.02 (Fri)

Darling Sweeper 4話



其の日、本当に心の底から会社に行きたくないと思った。


(どうして…こうなっちゃったんだろう)


昔からお酒にまつわる失態は多かったけれど、今回の様な大失態は初めてだった。


内野宮さんだけが悪いんじゃない。


内野宮さんは私が持ち掛けた事に乗っただけ。


何度もそう思うのにどうしてだか内野宮さんに対する気持ちが悪い方に引っ張られていってしまって正直今逢ったら気まずいなという思いが大きかった。


(もう絶対禁酒しよう!うん!!)


グッと拳を握り締めて固く誓う。


「おはよう、住吉さん」
「え?」


後ろから軽く肩を叩かれ挨拶をされたのは私と同じ新入社員で、同じグループで研修を受けている梅原 詠二(うめはら えいじ)さんだった。


「梅原さん、おはようございます」
「? なんだか元気ないね」
「え?…いえ、そんな事…」
「──あのさ」
「はい?」
「もっと楽にしていなよ」
「え」
「ずっと思っていたんだけどさ、住吉さん、もっと砕けた方がいいよ。同期なんだからオレには敬語なんて使わないでもっと気易くしてよ」
「……」
「オレはそうして欲しいって思ってるから」
「…梅原さん」


驚いた。


今まで自分の事ばかりに必死で周りに目を向けていなかったから気がついていなかった。


(私…友だちらしい友だちっていなかった…)


今更ながらそんな事に気がついてちょっと驚いたのだ。


「…うん、解った。ありがとう」
「あ、あぁ!これからもっとよろしくね」
「もっとよろしくって…何、其れ」


先刻までの心の重さが少し軽くなった。


研修についての悩みや乗り越えるコツなど、見返りなく教えてくれる友だちがいるんだと思ったらとても毎日が愉しくなって来た。


自分から積極的になると次第に人が集まってくるもので、梅原さんの他にも同じグループで一緒になっていた東野 亜里沙(ひがしの ありさ)さんとも仲良くなったのだった。



そんな日々のある日──


「あっ!いけない」
「何?どうした」
「私、お財布忘れちゃった。ちょっと取って来るからふたりとも先に社食行ってて」
「OK、席取っとくねー」


すっかり意気投合していた梅原さんと東野さんと此処最近いつも一緒に行動していた。


お昼は専ら社員食堂で食べていた。


世間的にブームになりつつある健康的な社食メニューがこの会社にも導入されていて、お値段以上の健康で美味しいランチを頂ける事ですっかり私たちは社食贔屓になっていた。


「いけない、いけない、財布忘れるなんて抜けてるよ私」


独り言を呟きながら急いでロッカールームに向かっていた。


──が


「!」
「──久し振り」


ロッカールームへと続く細い廊下の中央で立っている人がいた。


「……内野宮さん」
「何か最近逢わなかったよね」
「……」


内野宮さんと逢ったのはあの夜以来。


一週間振りの事だった。


「あの…通して下さい」
「通ればいい」
「……」


何も悪い事はしていない、そう思って堂々と内野宮さんの前を通り過ぎ様とした。


瞬間


「──ふざけるな」
「?!」


いきなり腰をグッと掴まれ引き寄せられた。


「な、何するんですかっ」
「なんで俺を避けているんだよ」


腰を掴まれたまま顔を間近に寄せ低く呟かれた。


「さ、避けてなんか…」
「避けている」
「……」


凄い形相で睨まれ私は言葉が出せなかった。


「ちょっと来い」
「え」


其のまま腕を掴まれ、私は内野宮さんに引きずられてしまっていた。

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