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2018.02.01 (Thu)

Darling Sweeper 3話



『恵麻、おまえにはお父さんの気持ちが解ってもらえないんだな』


『解らないよ…だって…だって』


『男っていうのは…寂しい生き物なんだよ』


『そんなのいい訳にしか聞えない!』




「──っ!」


見たくない夢を見て目が覚めた。


「…ったぁ」


(頭…痛い…)


昨日、飲みすぎちゃったなぁ…と頭を押さえていてふと気がつく。


「…………あれ」


(なんだか私の小汚いアパートの部屋とは…随分様相が違うんですけど…?)


「!」


(大体家、ベッドなんて置いてないし!)


そう、私は今、ベッドの上にいた。


「え?え?此処…何処」
「あぁ?…起きたか」
「!」


すぐ隣から声がして驚いた。


起き上がった私の隣で背を向けて寝ていた人が此方を向いた。


「う、内野宮さん?!」
「…おはよ」
「えっ?えっ?ど、どどどど…」
「あー慌てないで、説明するから」
「?!!」


説明するから──と云った内野宮さんが急に私の腕を引っ張って押し倒した。


「ちょ、ちょっと!」
「報酬、先払いだったよね?」
「はぁ?!報酬?先払い…って…」
「あれ?覚えていない?君が云ったんだよ」
「な、なななななな何をっ──」
「会社、辞めさせられたら困るから試験に何とか合格したいって、で、俺に試験に受かるためのノウハウを教えて欲しいって」
「…えっ」
「其れで俺が其の見返りは何かな?って訊いたら君、私をあげますって云ったんだよ?」
「??!!───嘘…っ」
「嘘じゃないよーだって此処、ホテルだよ?いざ行為に及ぼうと思ったら急に寝ちゃうからさ」
「……」
「俺、寝ている女には手を出さない主義なの。無反応ってつまらないでしょ?」
「……」
「だから君が起きるまで一緒に寝て待っていたって訳」
「……そん…な」
「って事で、早速──」
「……う、そ…」
「だから嘘じゃないって。大丈夫、俺貰うもの貰ったらちゃんと仕事するから」
「!」


内野宮さんが私の首筋に唇を寄せて来た。


「あっ」


其のあまりにも官能的な舌使いとキスに思わず声をあげてしまった。


「…ふっ、これくらいの事で随分いい声で啼いてくれるね」
「~~~」


一瞬、悪魔の囁きに負けそうになった。


(だけど、やっぱり──!)


「い、厭っ!」
「わぁ!」


私は思いっきり内野宮さんを押し戻した。


そして素早くベッドから這い出た。


(あっ…ちゃんと服、着ていた)


大した着衣の乱れもなく私はホッと息を吐いた。


「…ちょっとどういう事?君から誘って来たんだけど」
「ご、ごめんなさい…其れは多分…酔いからの其の…戯言で…決して本心では──」
「何?じゃあ約束は反古って事?」
「…はい」
「君は其れでいいの?このままじゃ確実に不採用コースだよ」
「…でも…まだ二ヶ月あるし…自分なりに頑張りたいって思います」
「…」
「……私…今、すごく…自己嫌悪です」
「──え」
「酔いから内野宮さんに…こういう事を持ち掛けたのかも知れないけれど…でも其れは…受けて欲しくなかった」
「……」
「内野宮さんに…こんな事してもらいたくなかったです…」
「…」
「内野宮さんを…嫌いになんかなりたくなかった」
「!」


私は最後までちゃんと伝えたい事も云えずに其のまま部屋を出て行った。


大通りまで出てタクシーに乗ってから一気に涙が溢れて来て、自分でもどうしてこんなに悲しくて泣いてしまっているんだろうと不思議に思ったのだった。

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