スポンサーサイト

秘密の穴園 19話

私は【穴園】という苗字が大嫌いだった。其の苗字を率いての【望】という名前も嫌いだった。だから私は早く結婚をして苗字を変えたいと思った。名前の事で馬鹿にされない様に人よりも優秀であれと努力して来た。素顔を偽りつつ、私は静かに探して来た。私にふさわしい結婚相手を。私のコンプレックスは結婚でしか克服出来ないと、固くそう思い込んで来たのだ──「…何…其れ」高野に私の秘密を話し終えた第一声が其れだった。「は?何...

秘密の穴園 18話

身なりを整えた私は、項垂れたままの高野を放って部屋を出て行こうとした。だけど──「待って!」「!」いきなり手首を掴まれ、後ろに引っ張られて其のまままたベッドに押し倒された。「何よ、まだ何かあるの?」「…きだ」「え?」「僕…望さんが好きだ」「!」いきなりの告白で驚いた。でも其の驚きは直ぐに収まる。「望さんが好きなんだ…だから僕と体だけじゃなく、ちゃんと付き合っ」「──無理」「え」高野の言葉を遮ってキッパリ...

秘密の穴園 17話

大きな家の離れの部屋に連れ込まれた。部屋に入って早々ベッドに押し倒され、素早く着衣を肌蹴させられた。「ちょ、ちょっと…がっつき過ぎ」「…」「ねぇ、訊いてい──あっ」話をしている私に構わず、高野は露わになった私の胸に唇を這わせた。「あ、あん…んっ」「…」初めの頃に比べたら上達した様に思える舌遣いに身を悶えさせる。「はぁ…んっ…ん」「…」ただ黙々と私のありとあらゆる場所を舐め回し、手慣れた様子でゴムを装着し一...

秘密の穴園 16話

高野はずっと無言のまま私の手を握って離さず、其のまま電車に乗り、私が降りた事のない駅で降りた。「ねぇ、何処に行くの?──というかあんた、なんであんな処にいたの?」「…」「まさかとは思うけれど…私の後をつけていたんじゃないわよね?」「…」「そんなストーカーみたいな真似、しないわよね?!」「…」「ねぇ」「…」「高野!」「…」(もう!先刻からずっと質問しているのに答えないんだから)高野のこういう処はよく解らない...

秘密の穴園 15話

「はい、今日は此処まで」「…」絵のモデルにと頼まれやって来た先生の仕事場のマンション。午後から休憩をはさみながら約2時間。ジッとしているのは中々の重労働だった。「とりあえず下書きは大まかに描けたから──ホラ」「…」『ホラ』と云われて見せてもらったキャンバスにはよく解らない線が沢山書き込まれていた。「これ、私ですか?」「んーまだ君ではない何か…だね」「? 私を描いているんですよね?」「そうだね、君を描いて...

秘密の穴園 14話

先生お手製のランチで満腹になって食後の珈琲を飲みながら他愛のない話をした。「穴園さんって絵画鑑賞好き?」「嫌いではないです。でもあえて自分から観ようとは思いませんけれど」「確かに、君は美術を選択していなかったね」「はい」嘘を云っても始まらないので正直に答えた。(本当は嘘でも美術大好きですって云った方が好感度は上がるかも…だけど)下手に嘘を云って、其処を詳しく突っ込まれたら逃げ場がないと踏んだ。「ふ...

秘密の穴園 13話

此処最近高野が私を求める場所、回数に見境がなくなったなと思う事が多くなった。(まぁ…高校生ってそういうものなんだろうけれど)でも数日前の様に学校で突然──というのは勘弁して欲しいと思った。いくら人が来ない場所だからといっても学校の敷地内には変わりない。万が一 ──という危惧は常に持ち合わせていなくてはいけないのだ。「…あ」色々考え事をしながら歩いていた先に、指定された場所を見つけた。(此処だよね…このマン...

秘密の穴園 12話

朝、いつもの様に登校して下駄箱を開けると小さな紙切れが入っていた。「?」何だろうと思い人気のない所で見てみると、日時ととある住所が書かれていた。「…」最後に書かれていた【2月】というのを見て其れが【如月】先生からのものだと解った。(何これ…下駄箱に手紙とかって)一昔前の少女漫画みたいだと思いつつも、少し気持ちが高揚した事が恥ずかしかった。きっとモデルとして誘われているんだろうと思った。最初は学校の美...

秘密の穴園 11話

「なんだか勿体ないわね」「え?」ホテルから出た私と高野は駅に向かって歩きながら話す。「ホテル代──毎回あんたが出してるけど…勿体なくない?」そう。毎回のホテル代は高野が払っていた。一応折半という形で私も支払う意思を見せたのだけど「僕が誘っているんだから」と云って私にお金を出させないのだ。一回の金額がCD1枚分くらいの値段だとしても回数を重ねれば其れなりに高額になると思うのだけれど。「だ、大丈夫だよ。僕…...

秘密の穴園 10話

「あれ?穴園さん、其処の漢字間違っているよ?」「──え」放課後、いつもの様に生徒会での仕事をこなしていると、横から覗き込んでいた先輩から指摘された。「あ、本当ですね。ありがとうございます」「ははっ、穴園さんでもそういう失敗する事あるんだね」「…」気さくな会計の先輩は爽やかな笑顔で私を見ていた。(いけない…ボーッと気を抜いていたら本性が出ちゃう)私は内心慌てながらもいつもの冷静さを取り戻した。「…」其れ...

秘密の穴園 9話

学校、昼休み、他の先生もいる。(この状況下で危ない事なんて何にもない──と思っていましたけど?!)「何ですか、この体勢は」「何ですかって、押し倒しているんだけど?」「…」学校、昼休み…というのは間違いない。ただ…(美術準備室には如月先生しかいなかった!)入室と同時に私は如月先生に机に押し倒された。「あの、お話は何でしょう?」「勿論モデルの件に関してだけど」「其のお話でどうしてこの様な体勢にさせられてい...

秘密の穴園 8話

其れはいつもと変わらない朝だった。「おはよう、お姉ちゃん」「おはよう」「望、ご飯は?おかわり」「もういい。いってきます」「あ、叶恵も行くー」「はいはい、いってらっしゃい」いつもの様に母の作った朝ご飯を食べて、駅まで妹と一緒に歩いて其処で別れ、私は電車で5駅先にある高校へと向かう。いつも席が空いていても座らない。出入り口の窓からぼんやり流れる景色を見るのが好きだった。一駅毎に同じ高校や他校の生徒が乗...
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。