不完全ラヴァーズ 25話

私は怖かった。過去に受けた酷い恋愛経験からある事に関してトラウマを抱える様になった。強い束縛からの拘束、暴力。私の気持ちを無視して甚振り支配しようとする事に対して酷い恐怖心が芽生えてしまうのだ。そして一度其の恐怖心を抱いてしまった相手とはもう──「えぇっ!いつの間にそんな話にっ」「…」突然泣きながら電話して来た私に驚きつつも温かく自宅に招いてくれた円加は、先刻から驚きの声しか発しなかった。岸岡さんと...

不完全ラヴァーズ 24話

彼はありのままの私を好きだと云ってくれた人だった。其のままの君でいいんだ、其のままの君が好きなんだと私にとっては奇跡の様な告白をしてくれた人だった。だから私は彼の事が本当に好きかどうか解らないまま彼の告白を受け入れてしまった。彼は告白の言葉通りありのままの私を愛してくれた。交際は順調だった。彼によって私は女として生まれた事の悦びを存分に与えられた。幸せだった。とても幸せだった──のに順調だった付き合...

不完全ラヴァーズ 23話

玩具で二度イかされ、やっと両手の組紐と両足の固定が解かれた私はテーブルの上からベッドの上に移された。「はぁん、あんあんあんっ」「ふぅん…凄い…もう締めているじゃないか」そして玩具が抜かれた私の中には岸岡さんのモノがズップリ埋め込まれ激しい律動が繰り返された。「あぁぁん、イク…もぅ…イッちゃうぅ~~!」「まだだ、まだイクなよ」「っ!」既に二回イっていた私の中は少しの振動でも敏感に伝わり、直ぐにヒクついた...

不完全ラヴァーズ 22話

外で食事を済ませ、岸岡さんのマンションに着いてから、岸岡さんが課長に対して嫉妬した──?と思った私の考えはあながち間違いではなかったのだという事を思い知らされた。 「やぁ…!お、お願い…ほ、解いてぇ」「ふっ…何云ってるの寿々子。いつもより感じている癖に」「はぅ!んっ…あぁんっ」岸岡さんの広いマンションの一室には明らかに私とのセックスで使うだろうと思われる様々な衣装や玩具、そして何故か部屋全体に大きな...

不完全ラヴァーズ 21話

岸岡さんが迎えに来てくれるまで時間があったので、会社近くのコンビニに寄ってお泊まりグッズを購入した。(コンビニって本当便利だなぁ)必要最低限のものが置いてあるのはありがたいけれど、自分がいいと思う様なデザインのものが置いていないのは少しだけ残念だと思った。そろそろ時間かなと思い会社に向かって歩いていると「あれ、香村さん」「あ、課長」会社に向かう私とは反対に駅方面に向かう課長とバッタリ逢った。「どう...

不完全ラヴァーズ 20話

課長とラーメン屋で晩ご飯を食べた翌日──「香村さん、はい」「え」三内さんが机の上に小さな包みをひとつ置いた。「これ課長からの出張のお土産。羽二重餅だって」「あ、ありがとうございます」視線を上げると課長が箱を手に彼方此方の部署を回っていた。(お土産…ってお菓子?)「しかし課長も律儀よね。いつも出張に行く度に其の場所の銘菓を人数分買って来るのよ?其れも自腹で」「そうなんですか」「まぁ、当たり外れがあるの...

不完全ラヴァーズ 19話

「ぃらっしゃいませぇぇー」威勢のいい声に迎えられ課長とふたりで案内されたカウンター席に座った。「あれ、 やっちゃん。何何、今日はえらい別嬪さんを連れて来ちゃって」(や、やっちゃん?!)「ちょっと、其の呼び方止めてくれない?一応部下の前なんで」「部下っ!こんな美女が部下っ!くぅぅぅ~いいなぁ~やっちゃん」「だから…呼ぶなって」店主と思われるカウンター内の男性と課長はやけに親しげだ。「あの…課長」「...

不完全ラヴァーズ 18話

課長に手伝ってもらったお蔭で20時前には作業は完了する事が出来た。「課長、本当にありがとうございました」「いやいや、別に何も。ただホッチキス打っていただけだから」「其れでも…ありがとうございました」課長と話しながらロビーを抜け会社を出ると真っ暗だった。「陽が暮れるのが早くなったね」「そうですね。夜でも寒い日の方が多くなって来ましたし」「香村さんは電車通勤だっけ?」「はい。課長は──」言葉途中でいきなり...

不完全ラヴァーズ 17話

「か、課長?!」「香村さん、こんな時間まで何やっているの」スーツ姿の課長の手には旅行鞄と紙袋が提げられていた。「私は残業を…明日朝一の会議で必要な書類を作成していて」「あぁ、例の統計表か。細かいから時間がかかっている?」「はい。夕方近くになって数字を一段ずつ間違えて入力していた事に気がついて…」「ははっ、そうなんだ。よく間違いに気がついたね、偉い偉い」「!」鞄や紙袋をデスクに置いて空いた課長の掌が私...

不完全ラヴァーズ 16話

いつも目にする光景にいるはずの人がいない──というのは不思議だなと思った。「あら、香村さん帰らないの?」いつもの様に終業時間のチャイムが鳴る中、席を立った三内さんが机にへばりついている私に声を掛けた。「あ、頼まれていた統計表の作成がまだで…明日の朝一の会議で必要と云われているので少し残ってやって行きます」「そうなの?ひとりで平気?」「はい、後は数字を打ち込んで行くだけですから」「そう、じゃあお先にね...

不完全ラヴァーズ 15話

「はぁ…俺、自覚しちゃったなぁ」「何が?」「意外なほどにコスプレ好きだったって事に」「…」行為後の気怠い体をベッドに投げ出しながら語らう。「服を着ながらのセックスって案外いいね」「…でしょう?」岸岡さんとの付き合いは順調だった。私が豪と別れたと知ると岸岡さんは二度目の告白をしてくれた。今度こそ私は『はい、よろしくお願いします』と返事をする事が出来たのだ。正真正銘彼氏彼女として付き合い始めてから二ヶ月...

不完全ラヴァーズ 14話

「寿々子」「あぁん、あんあんっ」薄暗い室内に響き渡る私の喘ぎ声と厭らしい水音。パンパンッという音が耳の後ろから響く。「はぁ…凄…っ、なんか変な気分だ」「あぁん、あっ、はぁん」「っていうか…まさか君にこんな趣味があったとは、ね」「んっ、んっ」彼は私を後ろから攻めながらもとても満足げに云った。「中々…そそられるね、この眺め」「…」あの再会の夜に求められた岸岡さんとは結局部屋を暗くして行為に至った。其れから...