私の彼は左利き 4話

「俺の事を左京と間違わず、しかも無難に苗字で呼ぶでもなく、里穂は俺を見て『右京くん』と呼んでくれた」「あ…あの、其れは…右京くんがお箸を左で持っていたから…」「…」「右京くんは左利きだから…其の、間違わずに…」「知っていた?俺と左京、時々入れ替わっていたって事」「えっ」「…もっともそう思っていたのは俺たちだけで、相変わらず里穂は俺が左京の振りをしても騙されなかったし、左京が左で箸を持って食べていても里穂...

私の彼は左利き 3話

「──え」「里穂」そっと右京くんに繋がれた私の手はきっと冷たかったと思う。右京くんについて行くとある建物の前で立ち止まった。ふと見上げた看板の【HOTEL】の5文字が目に入った。(此処って…此処って…)私はあまりにも驚き過ぎて、一時頭の中が真っ白になってしまった。「はっ!」「…里穂」「!!!」次に頭がハッキリした時には、私の真上には右京くんがいた。(こ、こここ、これって──)そう。いつの間にか私は、部屋に置か...

私の彼は左利き 2話

──どうして私だったのだろう?『三井さん、俺と付き合ってください』『………へ』小さな頃から目立たない子だった。引っ込み思案で大人しくて緊張しがちで地味な子だった。『ずっと好き、でした』『……』まともに男子と喋る事なんて出来ない子だった。其れは小学校、中学校と続いていて『そんなんじゃいつまで経っても彼氏が出来ないよ!』と云った親友のなっちゃんに背中を押され、高校生になってからは其れなりに男子とも話す努力を...

私の彼は左利き 1話

私の彼は双子の兄弟の弟の方です。彼の名前は藤島 右京(ふじしま うきょう)くん。私と同い年の17歳。名前は右京、だけれど…私の彼は左利きなんです。「里穂ちゃーん」「…あ」不意に背後から呼ばれた良く知った声に振り返る。「今帰り?一緒に帰らない?」「あ…いいけど…其の…右京くんと待ち合わせ、しているの」「右京と?じゃあ尚更いいじゃん、どうせ一緒の家に帰るんだし」「そ、そうだね」私なんかに気さくに話しかけてくれ...

小悪魔 桜 4話(終)

懐かしい回想を終え、私はずっと思っていた事を云ってみた。「ねぇ、むっちゃんっていつから私の事好きだったの?」「ブッ!」ベッドに座っている私の隣で、同じ様に水を飲んでいたむっちゃんがいきなり噴き出した。「わっ、汚いなぁ~はい、ティッシュ」「だ、だっていきなり桜ちゃんが変な事を──」「変かな?実はずっと思っていたんだけど」「…」付き合うきっかけは私の一方的な告白からだった。其れに対してむっちゃんは『俺…変...

小悪魔 桜 3話

そういった経緯から付き合い始めた私と高原さん。「むっちゃんって呼んでもいい?」「いいよ」「え、いいの?恥ずかしくないの?!」「別に。呼び方なんてどうでもいいよ?」「…」健康オタクの変人医学生。頭の固い人だと思っていたけれど付き合い始めるとそうじゃないんだと、色んな面が見えて来る事になる。「ねぇ、むっちゃん。今度のお休みに遊園地連れてって」「いいよ」「え、いいの?人混み嫌いだって云っていなかったっけ...

小悪魔 桜 2話

最低な出逢い方をした私たちは、間にお兄ちゃんや家族が入りながら徐々に接触する機会が増えて行った。「高原くん、沢山食べてね」「ありがとうございます」「…」ひとり暮らしだという高原さんはよく家にご飯を食べに来た。料理教室を主宰しているお母さんは「若い男の子が沢山食べてくれるのが嬉しい」と云っては張り切って高原さんに料理を振る舞っていた。「高原くん、この前質問された閉鎖不全症についてだけど」「あぁ、是非...

小悪魔 桜 1話

昔お母さんが私に云った。『桜にも其のうち現れるわよ?志弦と同じくらいに好きな人が』『…そんな人…現れる?』『うん、絶対現れる。お母さんが保証する』『……ふぅん』あの言葉を訊いてから五年後、其の時は案外早くに私の元を訪れたのだった──「んっ…あっ…」「はぁ、あっ」彼のモノが滑りよく淫らな音を立てて私の中を冒し、奥を二度三度と強く擦り付ける。「ふぁぁぁっ!や、あっ…イ、イッちゃうぅ」「イって…いいよ」「んっ、ん...

紡ぎ愛(番外編3)

お兄ちゃんが彼女を家に連れて来た。「は、初めまして…岩井 美樹(いわい みき)です」「もぉー初めてじゃないでしょう?でもまさか岩井さんと志弦が付き合っているなんて…知らなかったわ」「す、すみません!4歳も年上で!!」「え?そんな事別に気にしていないわよ?志弦が選んだ人ならどんな人でも私、歓迎するわ」「…ありがとうございます」「…」(なーんか…気に入らない)「ねぇお母さん。本当にいいのぉ?」「え、何が?」「...

紡ぎ愛(番外編2)

大学入学と同時に一人暮らしを始めた。勉強も大切だったけれど、生活して行く上で生活費を稼ぐ事も私には大切な事だった。薬剤師を目指していた私が選んだバイト先はドラッグストアだった。此処なら暇な時間、常駐している薬剤師さんに薬についてあれこれ話が訊けるので一石二鳥だと思った。そんな少し下心ありで始めたバイトだったけれど…(あ…今日も来ている)バイトを始めて一年以上ともなると常連さんの顔などはすっかり覚えら...

紡ぎ愛(番外編1)

僕が8歳の時に妹が、13歳の時に双子の弟たちが産まれた。以来──「ねぇねぇお兄ちゃん、ここ、教えてよぉー!」「にーちゃ、にーちゃ」「にーちゃん、ジュースのむぅー」「…」下に3人妹弟がいると僕は長男として何かと頼られる事が多かった。「あぁー志弦、ごめん、オムツの買い置きがないの。買って来てくれない?!」「…はいはい」母はまだ手のかかる妹と小さな双子を抱えながら家事育児をこなしている。其れは傍から見ていても大...

紡ぎ愛 20話(終)

「こんにちは。藤島桜のお迎えに来ました」「あら、志弦くん?久し振り!わぁー大きくなったね!相変わらずカッコいいんだからー!」「…美香子先生、お久し振りです。まだこの保育園にお勤めされていたんですね」「ふふっ、そうよぉー現役バリバリ!──そういえばお母さん、大丈夫?」「はい。一応大事を取って入院しています」「そう…でもきっと大丈夫よ!お父さんがお医者さんだし心強いわよね」「この場合は専門外になりますけど...