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紡ぎ愛 1話

私達はいつも3人でいた。幼稚園の時に出会ってから3人共全然性格が違うのに何故か気が合って…次第に3人でいる事が当たり前なんだって思う様になっていった。だけど私達は成長するにしたがって気がついてしまった。私達は男と女なんだって事に──「亜矢、今帰り?」「あっ、由弦くん──そういう由弦くんも?」「うん。今日は早退しなかった」「そっか、じゃあ一緒に帰ろうか」私、高瀬 亜矢(たかせ あや)には幼稚園の時から仲のよか...

わがままな芳香 30話(終)

明登と再会して一緒に住む様になって三ヶ月が経った。其の間に私は明登の事を少しずつ知る事となった。私と明登が路地裏で初めて出逢ったあの時、明登は今まで生きて来た人生の中で最低最悪のどん底状態にいたという。未婚の母とふたり暮らしていたアパートにはひっきりなしに母親の恋人という男が出入りしていた。いつも母親から『おまえは要らない子』『おまえのせいであたしの人生は狂った』『おまえなんかいなければいいのに』...

わがままな芳香 29話

ほんの一時間ちょっとの飲み会を終え、私は自宅に戻った。「ただいま」真っ暗な部屋に明かりを点けながら云う。勿論返事をしてくれる人はいない。『バイト終わったら速攻帰るから』朝、出かける前に訊いた明登の言葉を反芻する。「…ふぅ」ペットボトルの水を飲みながらソファに沈み込む。目に入った時計を見るとまだ22時前だった。(バイト…終わるの0時だったよね)明登がバイトしているケイスケの店は深夜2時まで営業だったけれど...

わがままな芳香 28話

「あ…いたたぁ」 翌日腰を擦りながら売り場にやって来た。「おはよう──って、なぁにどうしたの」「あ、おはよう春菜。いや…ちょっと」先に開店準備をしていた春菜が訝し気に私を見た。「何よ~昨晩は盛り上がっちゃったって感じ?」「あ~まぁ…」春菜から冷やかされて蘇る昨夜の熱い夜。(盛り上がり過ぎたわよね…)明登への気持ちに気が付き、彼の胸に飛び込む覚悟が出来た私は何もかもが吹っ切れてしまっていた。大学生だと...

わがままな芳香 27話

認めたくなかった。悔しいと思いながらももうどうやっても自分の気持ちを偽る事が出来なくなっていた。其れほどまでに私はうんと年下の彼に溺れてしまったのだから──「ふっ…やっと素直になったな」「…へっ」私の下でニヤリと笑った彼はくっくっと笑い出した。「俺の云った通りになっただろう」「…」「俺、云ったじゃん『そいつの告白を受けるかどうかはどうでもいい──仮に付き合ったとしてもあんたは俺の方が好きなんだって事を思...

わがままな芳香 26話

「なんだよ、遅かったな」「…え」家に帰るとリビングに明登がいた。「残業だったのか?」「…なんでいるの?今日は遅くなるって」「今日は客足少ないから早めに帰って勉強しろってケイスケさんが云ってくれ──って…芳香」「!」急に腕を取られて顏を間近に見つめた。「…酒、飲んでるのか?」「あっ」「! しかもこれ…キスマークじゃねぇか」「っ」首筋に指先をあてつつ物凄い形相で私を睨みつけた。「おまえ、何やって来たんだよ!...

わがままな芳香 25話

あの時には感じなかった嫌悪感。どうして今になって感じる様になってしまったのか──(其れは…)「ごめんなさい!」「えっ」私は覆い被さっている駿河さんの体を力一杯押した。私の突然の行動に駿河さんは唖然とした表情をしていた。「あの…ごめんなさい」「…沖野、さん?」「私…私…お受け出来ません」「え」「駿河さんとは…お付き合い、出来ません」「どう、して」「…」「君は…好きでもない男とこういう事を…するの?」「…」駿河さ...

わがままな芳香 24話

いつの間に用意されていたのか解らないスイートルーム。初めて入った其の豪華な内装を堪能する間もなく、私はこれまた豪華なベッドに押し倒されていた。「沖野、さん…っ」「ん、ま…待って」「待てだなんて…云わないで」私をベッドに縫い付けて駿河さんは性急に私を求めた。食事の後、レストランを出た私は流れる様に駿河さん先導の元最上階へのエレベーターに乗らされた。そして着いた先がスイートルームで一瞬ギョッとした。だけ...

わがままな芳香 23話

駿河さんに連れられて来たのは高級ホテルのレストランだった。(…やっぱりこういう感じ、だよね)以前何度か食事した時も連れて来られたのは私みたいな庶民や一見さんが入りにくいお店だった。「駿河様、ようこそおいでくださいました」「今晩は、また寄らせてもらいました」「光栄でございます。本日は格別のおもてなしをさせていただきます」「あぁ、お気遣いなく」(オーナーらしき人が挨拶に来るのも当たり前なんだよね)普段...

わがままな芳香 22話

蛍の光が流れる中、慌ただしく後片付けをしていた。「芳香、先に上がっていいわよ」「え、そんな。まだ発注表まとめていないし」「やっとくよ。其れより念入りに化粧直してバッチリ決めて行ってらっしゃいよ」「…」春菜に駿河さんから食事に誘われた事を告げるとまるで自分の事の様に喜び浮かれた。「頑張りなよ!上手く行けば玉の輿じゃない」「…あんまり興味ないんだけどね」「え、何?」「あ、ううん、なんでもない」私が呟く様...

わがままな芳香 21話

慣れとは恐ろしいものだな──と思う。真栄城明登と住む様になってから二日が過ぎたけれど、思った以上の充実ぶりに少し決心が揺らぎつつあった私だった。「なぁに、何かいい事でもあった?」「え」月曜日、いつもの様に持ち場に着くと春菜にニヤニヤされながら云われた。「やけにお肌ツルツルです事~」「ま、まさかぁ」「其れに…腰回りもこう…」「~~~」(こういう仕事をしていると肌とか体にいちいち目が行ってしまうのはもはや...

わがままな芳香 20話

チュンチュン「…ん」外の明るさと雀の鳴き声で目が覚めた。(ふぁっ!)そして直ぐに気が付くいつもとは違う状況。「…」私の直ぐ傍で寝息を立てている彼の存在に胸が詰まる。(な…何よ…この可愛い生き物!)あどけない顔で眠っている彼は天使の様な寝顔だった。一旦口を開けばこの天使の様な顔にはそぐわない悪態をつく喋り。(ギャップ…あり過ぎでしょう)少し幼さを残した18歳らしい顔。だけど私に対してヤる事だけはいっちょ前...
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