紡ぎ愛 1話

私達はいつも3人でいた。幼稚園の時に出会ってから3人共全然性格が違うのに何故か気が合って…次第に3人でいる事が当たり前なんだって思う様になっていった。だけど私達は成長するにしたがって気がついてしまった。私達は男と女なんだって事に──「亜矢、今帰り?」「あっ、由弦くん──そういう由弦くんも?」「うん。今日は早退しなかった」「そっか、じゃあ一緒に帰ろうか」私、高瀬 亜矢(たかせ あや)には幼稚園の時から仲のよか...

紡ぎ愛 2話

私は小さい時からなんとなくだけど、由弦くんよりも龍司の方が好きだなって思っていた。由弦くんは優しくて、私が何をしても笑って赦してくれた。困っていたらいつも助けてくれるし、気がつくといつも傍にいてくれた。反対に龍司はいつも私を苛めていた。厭な事ばかりするし、馬鹿にする様な事をいつも云われた。──だけど龍司はいい事悪い事の区別はつけて、卑怯な振る舞いは絶対にしなかった。本当に悪い事は私にはしなかった。た...

紡ぎ愛 3話

愛し合っていた私と龍司の関係に大きな障害が出来たのは中3の冬だった。龍司のお父さんが海外転勤を命じられ、同じ会社で働いていた龍司のお母さんも同行する事になったために一家で赴任先に引っ越す事になったのだ。つまり龍司とは遠距離恋愛になる──という事だった。龍司は最後までひとり日本に残ると抵抗したけれど赴任期間が何年になるか解らない中、未成年の龍司をひとり日本に残す事は出来ないと家族共々引っ越す事で話は進...

紡ぎ愛 4話

龍司と遠く離れてから約一年──私と由弦くんは同じ高校に通っていた。龍司と離れたばかりの頃は毎日の様にお互いメールでやり取りをしていたけれど、やっぱり時差や生活環境の違いなどから連絡は徐々に疎遠になっていった。其れは仕方がない事。私はそう思って連絡のない龍司も私と同じ気持ちでいてくれていると信じていた。いつか龍司が私を迎えに来てくれるのだと、約束の其の日が来る事を待ち望んで日々をやり過ごしていた。「亜...

紡ぎ愛 5話

由弦くんの部屋で由弦くんのお母さんが作ってくれたお菓子を頬張った。「んっ!美味しいぃ~!!」「亜矢っていつもお菓子食べる時、感嘆符がつくよね」「え、ついてる?」「うん、ついてる」「…だって本当に美味しいんだもん」「美味しいものを食べている時の亜矢の顔、可愛いよ」「……」ニッコリと微笑まれてちょっと赤くなった。由弦くんは黒くて大きかった龍司とは対照的に、小さい時から女の子みたいな可愛い顔をしていて色が...

紡ぎ愛 6話

私は罪を犯した「あっ…あんっあん」ずっと待っているという誓いを破った「あぁぁ、んっ…んっ」私は愛する人を裏切ってしまった──「はぁ…はぁはぁ…ゆ…由弦…くぅ…」「亜矢…亜矢の中に…僕のが…うっ」私が欲しいと云った由弦くんの欲望を私は受け入れてしまった。龍司にしか触れさせないと誓った操はあっけなく由弦くんのそそり立った楔によって打ち破られてしまった。「あぁぁん、あっ…すご…んっ」「はぁ…亜矢…凄い…中がうねってるよ...

紡ぎ愛 7話

相変わらず龍司から連絡のない日々は続き、其れと並行するかの様に由弦くんとの仲を深める日々は続いていた。「…私…いつか罰が当たる」「えっ…亜矢、なんて?」「……ううん…なんでもない」「……」高校2年の冬。其の日も私は由弦くんの部屋で冷えた体を温めあうかの様に抱き合っていた。「んっ…あっ…はぁ…」「はぁはぁ…亜矢…んっ」由弦くんの固くて大きなモノが何度も何度も私の中を往復する。其の度にクチュッズリュッと粘着質な音が...

紡ぎ愛 8話

「……え」其の訃報を聞いた私はたったひと言……ひと言しか発せられなかった。『由弦…死んじゃった』由弦くんのお母さんから聞かされた其の言葉がずっと私の心を、体を縛り付けた。17歳の由弦くんは新しい年を越す事無く永眠してしまった。眠る様に突然逝ってしまったと涙ながらに聞かされたけど、私は其れを聞いても涙が出なかった。哀しい気持ち以前に何故か怒りの気持ちが湧いて来てしまっていた。『どうして由弦くんを救えなかっ...

紡ぎ愛 9話

もしかしたら妊娠したのかも知れない──其の不確かな状況が長く続く事に耐えられなくなった私は、とりあえず妊娠しているのかどうかの判断をするために思い切って妊娠検査薬を買う事にした。勿論家の近所のドラッグストアで買う事は出来なかったので、電車に乗って家からうんと離れた処のお店で買って近くのデパートの中にあるトイレで使った。結果は陽性だった。(陽性って…妊娠しているって事…だよね)ありえない現実に私は呆然と...

紡ぎ愛 10話

若い時に悩んで苦労した事は歳を重ねる毎にいい思い出になっていっている気がした。あの時に決断した事が決して間違っていなかったんだって思えれば、尚更あの時の苦悩、苦労は報われるんだって…そう思うのだった──「ほーら起きてー志弦!」「んんっ…まぁだねーむーいー」「もう、早く起きないとパパが待ちくたびれちゃってるよ!」「…パパぁ?」「そうよ、今日はパパの処に行く日でしょ?」「! そっかーきょうはパパのところい...

紡ぎ愛 11話

「おはようございま-す」「あ、おはようございます、おはよう志弦くん」「みかこせんせい、おはよぉー」平日の朝は志弦を保育園に預ける事から始まる。「あ、そうだ高瀬さん、前に教えてもらったレシピ、作ってみたんです。すっごく美味しかったです」「本当ですか?よかったー」「また何か簡単に出来る美味しいものがあったら教えてくださいね」「はい、喜んで」保育園の先生とこういう交流もあったりして今の職業に就けた事は本...

紡ぎ愛 12話

私は1枚の紙切れをもう何時間も眺めていた。「…」其の紙切れにはある電話番号が書かれていた。恵さんからいい事だと教えてもらったのは出張ホスト店の存在だった。なんでも電話ひとつで何処にでも来てくれて此方の要求通りのサービスをしてくれる大人のお店だという事だ。「…なんだかなぁ」私はちょっと…いや、かなり戸惑っていた。お金を払って性欲発散をするなんて、そういうのはてっきり男の人の娯楽だと思っていたし、大事なお...