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2017.07.07 (Fri)

不完全ラヴァーズ 1話



──この世の中に『自分は完璧だ』と云える人が一体どれだけいるのだろうか?




「ねぇねぇ、香村さん」
「はい」
「香村さんって…ひょっとしてジュジュだったりしない?」
「…え」
「ホラ、ファッション誌のKILAの専属読モだった」
「…」
「なんかすっごく似てるんだけど、そうじゃ──」
「ごめんなさい、よく似てるって云われるんですけど違います」
「えっ、そう?」
「そうです」
「…そうかなぁ、似てるんだけどぉ」
「三内さん、好きなんですか?ジュジュ」
「好きか嫌いかでいったら好き。わたし読モチェックするのが好きなの。ちょっと毛色の違う子見つけたりするのが趣味で」
「…へぇ」

毛色の違う──と云った彼女の言葉に少しだけ面白さを感じた。



この春大学を卒業して食品メーカーに就職した私、香村 寿々子(かむら すずこ)

一ヶ月の研修期間を経て現在は配属された部署の先輩社員の三内さんに絡まれている最中だ。

指導係の癖に仕事に関する話よりも他事の方が多いのには少し辟易するけれど、気さくで威張っているって感じではない性格には好感が持てた。


「こぉら、お喋りは昼休憩にしなさい」
「痛っ!」
「!」

薄っぺらい書類を丸めてポカポカッと三内さん共々頭を叩かれた。

「課長、痛いですよー!」
「お喋りするから痛い目に遭うんですよ」

文句を云う三内さんに課長はもう一回ポカッと叩いた。

「あの…すみませんでした」
「あぁ、香村さんはとばっちりを喰らっただけですから一発で止めておきますね」
「あぁーズルい!課長も若くて可愛い子を贔屓するんですね!」
「贔屓って…どう考えても指導係の君が無駄口の先導していたでしょう」
「えぇーちょっとした息抜きに話していただけじゃないですかー」
「いいから、仕事してくださいね」

そう云って課長の斎木さんは席に戻って行った。

「もう、ほんの少し話しただけじゃない。ねぇ、香村さん」
「…そうですね」

私が配属された販売促進課は幾つかの職種に分かれていて私は販売マーケティング部という処に籍を置いていた。

広いワンフロアにちょっとした仕切りで幾つかの部がデスクを並べていて、其のフロアの一番奥に座しているのが販売促進課、課長の斎木 康隆(さいき やすたか)だった。

(課長って…いくつなんだろう)

見た目が若いけれど課長という役職に就いているからには其れなりに歳はいっているんじゃないかと思ったのだった。


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2017.07.08 (Sat)

不完全ラヴァーズ 2話



「斎木課長?確か…36とか云ってたかな」
「36?…見た目若いですね」
「だよね。でもね、あの見た目に騙されちゃダメだよ」
「というと?」
「なんか中身は年相応におっさんくさいんだよねぇーやる事なす事」
「はぁ」
「所詮見た目だけだから、課長は」

其の日の仕事終わり、私は三内さんに飲みに誘われアルコールを仰いでいた。

ひとつ年上の三内さんは入社一年目にして会社内の様々なゴシップネタを知り尽くしていた。

「営業に伊藤っていう人がいるんだけど、其の人には気を付けてね!妻帯者の癖に浮気OKとか云っている様な馬鹿男だから」
「はぁ…」
「其れに人事の谷岡さんも要注意!50過ぎても独身で社内で必死に嫁探ししているような人だからさ、ちょっとでも甘い顔を見せると気に入られちゃうよ」
「…肝に銘じておきます」

別に訊きたくもない事を次々と披露されて私はただ適当に相槌を打つしかなかった。

「ってかさ、香村さん本当にジュジュじゃないの?」
「えっ」

不意に真顔になった三内さんが私の顔をジッと見て云った。

「香村さん、本当~に似てるよ、ジュジュに」
「…」
「なんか学業専念するって云って突然読モ止めたらしいけど…そういう処も香村さんと条件似ていない?」
「…そんな…似た様な女子大生なんて世の中にごまんといますよ?」
「そぉだけどさー」
「三内さん、酔っているでしょう?そろそろ帰りましょう」
「えぇーまだ早いじゃん。どうせ明日休みなんだしー」
「いいから帰りましょう」

私は「酔っていない」と云い張る三内さんをタクシーに乗せ見送ったのだった。

「…ふぅ」

悪い人ではないと思うけれど【あの話】をする内はあまり積極的にお付き合いしたいタイプではないかなと思った。

(というかそんなにバレバレなんだろうか?)

街中のガラス窓に映る自分の顔を見つめる。

(ジュジュ…かぁ)


20代前半女性をターゲットにしたファッション雑誌KILAの専属読者モデルのジュジュ。

女子大生という肩書とジュジュという名前のみの情報しかなく、でも其のミステリアスな美貌、スタイル、其れ等は他の読者モデルとの格の違いは一目瞭然だった。

ジュジュが紙面を飾る度に雑誌の売り上げは上がった。

そんな人気を芸能関係者が見逃すはずもなく、ジュジュの元にはテレビ出演オファーや芸能事務所への勧誘などがひっきりなしに来た。

しかし其の頃を境にジュジュの露出は減り、とうとう学業専念のためという理由であっという間に紙面から消えたのだった。


(一年前の事なんだけどなぁ…まだ覚えている人がいたんだ)

そう。

三内さんの予想通りジュジュは私、香村寿々子の仮初の姿だった。


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2017.07.09 (Sun)

不完全ラヴァーズ 3話



金曜日の夜。

22時過ぎの電車はさほど混んでおらず座席に座ったマスク姿の私はうつらうつらとしていた。

不意にバッグの中に入れていた携帯のマナーモードのバイブ音が聞こえた。

バッグから携帯を取り出して確認してみればよく知った男からのメールだった。

【今から家に行ってもいいか?】

ハァとため息をひとつついて私は素早く返信した。




自宅の最寄り駅に着き、足早に夜道を駆けて行った。

普通に歩いたら10分かかる処を3分も早く着いた。

するとマンションのエントランスに其の姿を見つける。

「…早かったね」
「おぅ、メール、此処で打ったんだ」
「え」
「インターホン鳴らしても出なかったからさ、メールした」
「相変わらずだね」
「悪ぃ」

私はセキュリティーを解除してエレベーター前まで進んだ。

其の後をついて彼もやって来る。

「飲んで来たんか?」
「うん、部署の先輩と」
「其れって男?」
「違う。女」
「ふぅん、寂しいねぇ~金曜の夜だっていうのに」
「余計なお世話。あんただって私の処に来ている時点で寂しいのは同じでしょう」
「俺は違うよ。此処数日ずっと残業でさぁーまともに家に帰ってないんだよ」
「じゃあ今すぐ帰りなさいよ」
「えぇーダメ、もういちいち電車乗ってとか…気力が持たない」
「だからってうちをホテルか何かと勘違いしないで欲しい」
「そんなつれない事云うなよ~ジュジュ」
「其の名前で呼ばないで」
「おぉっと、地雷踏んだ?ごめんごめん」
「……」

軽口を叩きながら6階の自宅に着くといきなり玄関で押し倒された。

「! ちょっ」
「はぁ~やっぱいいなー寿々の感触」
「もう、あんたこそ酔ってんの?!放してっ」
「ヤダぁーねぇねぇチューしよ」
「厭だっ」
「なんでーツレない事云うなよー」
「あんた、疲れ過ぎてハイになっているでしょう!」
「ん゛~せーかい!」
「サッサと寝ろ!」

パァンと思いっきり頭を叩くと彼は私に覆い被さったまま果てた。

「…」

動かなくなった彼をしばらく観察していると寝息が聞こえて来た。

(…寝たか)


私は起こさない様に彼から抜け出し寝室に行き枕と毛布を取って来た。

下半身を玄関に投げ出し寝ている彼の頭に枕を置き毛布を掛けた。

(熟睡してる…これは朝までコースだな)

ハァとため息をつきながら私は彼を其のまま放置してシャワーを浴びに向かったのだった。


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2017.07.10 (Mon)

不完全ラヴァーズ 4話



『え…お、おまえ…もしかして…香村、か?』
『…』
『う、嘘だろぉ?!おまえ…な、なんでそんな…って、本当に本当に香村寿々子なのか?!』


──あの衝撃的な再会から二年

出来ればあの時からやり直せたらいいのになと時々思ってしまう。


(………ん?)

夢と現の境を彷徨っていた私は体に感じた違和感に徐々に目を覚ます。

薄っすらと明るくなった部屋に動くものがあった。

「あれ、起きちまった?」
「?!」

ベッドで寝ていた私の上に何故か彼がいた。

しかもモゾモゾと私の体を弄っていたのだ。

「ちょ、ちょっと何してんのよ、あんた!」
「何って…寿々を襲ってんの」
「冗談は止めてよ!あんた玄関で熟睡していたじゃないっ」
「いやぁ尿意を感じて起きたら目が冴えちゃって…ヒマだからこうやって寿々といい事したいなぁ~と」
「いい事って── っ!」

喋りながらも布団の中の私を攻める手は休まなかった。

「──なぁ、いいだろう?久しぶりにシよ」
「~~~」

邪気のない顔で微笑まれると体の力が抜けてしまう。

「寿々」
「んっ」

顏は私に向けたままゴソゴソと布団の中で私のパジャマのズボンに手を入れ奥を弄り始める。

「おっ、もう濡れてんじゃん」
「ちょ…へ、変な事云わないで」
「ヘンじゃないないぞ、真実を述べてるだけだ」
「んっ、んんっ」

彼の指が忙しなく私の中で暴れる。

其の度に私の中からはクチュクチュと厭らしい音が響いた。

「…なぁ、見たい」
「ダメ」
「どうしても?」
「どうしても」
「ちぇ、なーんかムードねぇの」
「だったらしなきゃいいじゃない」
「まぁそうなんだけどさ…でもやっぱシたい」
「!」

いきなり抜かれた指の代わりに太くて固いモノが私の中にメリメリと挿入って来た。

「くはっ、スゲッ…ん、んんっ」
「あ、あぁぁっ、あんあんっ」

ズブズブと私の中に滑り込んだ彼のモノはあっという間に私の最奥に辿り着き其処をトンッと擦った。

「ふぁあっ!あっあっ」
「んんっ…寿々…おまえ…まだイクなよっ」
「あっあっ…あっ」

パジャマを着たままで、布団を被っている中でのセックス。

彼の腰が動けば動くほどに汗ばみ暑くなる。

「な、なぁ…布団、剝いでもいいかっ」
「ダ、ダメッ!絶対に見ないで!」
「…んだよ…あっ…でも…マジおまえん中、最高っ」
「…」

顔を突き合わせている状態で布団の中では彼のモノが私の中に出入りしている。


──そう

私とセックスをするというのはこういう事。

服を着たままで必要最低限の露出でする、酷く閉鎖的な行為だった。

(誰も…誰も私の裸を見ないで!)

持って生まれた美貌。

人が羨む容姿をしている私の誰にも云えない酷いコンプレックス。

其れが私を雁字搦めにして恋愛に対して内向的に仕向けているのだった。


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2017.07.11 (Tue)

不完全ラヴァーズ 5話



私は生まれた時から可愛い、可愛いと賛辞を受けながら育って来た。

共働きの両親に代わって私を面倒見て来た祖父母は私を溺愛し、主に食事方面での甘やかしは壮絶なものがあった。

両親を始め、祖父母も揃って『これは…ヤバいんじゃないか』と気がつく頃には私はすっかりコロコロと太った健康優良児体型になっていた。

顔が可愛かったせいなのかどうかは解らないけれど酷い苛めに遭う事もなく其のままの体型を維持しつつ中学に進学した。 

そして其処で出逢った男子に私は初めて恋をした。

彼は私の丸い体型を馬鹿にしつつも他の女子と変わらない付き合いをしてくれて、そんな性格にも好感を持ち私は中学三年間彼に想いを寄せ続けた。

そして中学を卒業する時、別々の高校に進学する事になった彼に私は思い切って告白をした。

だけど彼の返事は『NO』だった。

友だち以上には見れない、彼女として付き合うのは無理だとやんわりと云われたが、其の端々からは

『痩せていれば付き合ったのに』

という気持ちが窺えてしまったのだった。

初恋に玉砕した私は其れでもまだ本気で痩せようとは思わなかった。

ありのままの私を受け入れてくれる人が必ず何処かにいるのだと信じて疑わなかったからだ。

そして高校に進学した私に奇跡の様な出逢いがある事になるのだけれど──其れは又の機会に話そう。


とある事情でやっと本気で痩せようと思った私はダイエットを頑張った。

そして約一年の戦いの末、身長163センチで体重70キロあった体は見事48キロまで落ちたのだった。


──しかし其処で私は思わぬコンプレックスを背負う事になった


そう、其れは減量した分の弛んだ肉と肉割れ線。

細くなった体について回る事になったこれら負の遺産のお蔭で私は人に裸を見られる事がとても怖くなってしまったのだ。


そんな頃に再会したのが初恋の彼──竹ノ原 豪(たけのはら ごう)だった。

中学の同窓会で五年ぶりに再会した彼は痩せた私を見てとても衝撃を受けていた。

そして其の驚きの勢いのまま私に交際を迫って来た。

内心嬉しいと思ったけれど、どうしても中学生の時の告白の悪夢を思い出し素直に『うん』とは云えなかった。

其れでもしつこく云い寄って来た彼に、彼女にはなれないけれど友だち以上恋人未満の付き合いならいいと云ってしまった。

以来事ある毎に誘いを受けて遊びに行ったりお互いの家を行き来する様になり、次第に男女の関係になってしまっていた。

ただし私は彼の前で裸を曝け出す事が出来なかったのでセックスの時はいつも服を着てとか、真っ暗闇の中でと何かしらの注文をつけていた。

(其れで文句を云ったなら彼との付き合いも其れっきりだと思っていたのに…)

彼は文句を云う割にこの私のやり方をずっと受け入れて来た。

だから私も流される様に彼から求められれば受け入れてしまうという、何ともいえないグダグダな関係が続いていた。



「はぁはぁ…あぁ…最高だった…寿々」
「…んっ」

彼は私が読者モデルのジュジュだと知ると益々私に執着した。

私が且つて彼の事が好きだったという事を逆手にとって私に甘えながらも時々は強引に私を翻弄するのだった。

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