SとMの癒えない関係 35話

「南さんと陽大さんはゲイでおれはバイなんだ」「…………は?」(ゲイと…バイ?)つまりゲイって男の人同士が恋愛対象で…バイ──バイセクシャルは男女問わずそういう対象って…(そういう事?!)「陽太さんは其れこそちいさな頃から宗介さんを好きで、南さんは大学の先輩として出逢った宗介さんに惚れてしまったという訳」「…はぁ」「宗介さんって其の世界の男から見たら滅茶苦茶魅力的な存在なんだよ。まぁ、男だけに限らず女も同様に...

SとMの癒えない関係 34話

ポーン♪「あ」夕方過ぎ、ソファで雑誌を読んでいると携帯の着信音が聞こえ、テーブルに置いてあった其れを手に取ると、やっぱり宗介さんからのメールが届いていた。【今駅に着いた。商店街入口で待っているから来てくれるか】其の短い文章は一瞬で目と頭に入り込んだ。(あれ?駅じゃなくて商店街入口?)待ち合わせに指定された場所に少しだけ違和感を感じたけれど、素早く支度をして部屋を出た。(商店街入口って事は…別に遠出す...

SとMの癒えない関係 33話

一度部屋に戻って簡単に着替えを済ませると、私は少し恥ずかし気にリビングに入って行った。「お、おはようございます」「あぁ、起きたのか」キッチンでフライパンを振っていた宗介さんがチラッと私に視線を移すと同時にとても残念そうな顔をした。「? あの…」「なんで服、着ているんだ」「えっ、なんでって」「今日は休みだろう?もっと寝ていればいいものを」「そうは云ってもですね」「出勤前にもう一度抱いてやろうと思って...

SとMの癒えない関係 32話

ずっとずっと待ち焦がれていた瞬間を、私は体いっぱいに感じ、味わっていた。「はぁん…あっ…あっ…あぁぁぁぁぁっ!」「ぅ…っ…ん」「はぁはぁはぁ…あっ…あ…」「ふっ…やっぱり…思った通りだ…」「な…何…っ」「おまえ……感度よ過ぎ」「!」初めて抱かれた宗介さんとの行為は今まで経験して来た其れ等とは全く違ったものだった。時間をかけて舌と指を使って丹念に解された前戯から、流れる様に宗介さんのあり得ないサイズのモノを挿入れ...

SとMの癒えない関係 31話

しばらく抱き合う私たちを静寂が包んだ。お互いの体温を確かめ合う様に抱き合っていた体は、やがて宗介さんから放された。「これが本当の俺だ」「…」「教師として表面では真面目で堅物で、融通の利かない酷く道徳的な人間を演じて来た」「…」「だけど本当の俺は真面目とは程遠い、不真面目でふしだらで非道徳的な欲にまみれた男なんだ」「…」しっかりと私の目を見て宗介さんは続ける。「だからおまえが…再会したあの日に俺に告白を...

SとMの癒えない関係 30話

「俺は…舞子と同じだ」「…え」「舞子と同じ境遇に身を置いていた」「…」宗介さんの言葉が静かに私の心に降り積もって行く。「俺は幼い時にシングルマザーだった母親を亡くしてから、母親の兄夫妻の元に引き取られた」「…」「伯父さん…義父はとてもいい人だった。真面目で勤勉で…子どもがいなかったから余計に俺の事を本当の息子の様に可愛がってくれて母親が亡くなった哀しみは其れで随分救われた」「…」「だけど──義母は違った」...

SとMの癒えない関係 29話

『──今夜限りで今までの関係を止めさせてくれ』『もうおまえの事をそういう風には考えられない』 突然切り出された宗介さんの言葉に一瞬にして凍り付いた。(……う、そ)心の何処かでは解っていた事だったかも知れない。宗介さんは私の事を好きにはなれず、いつかこの不確かな関係もなかった事になるんじゃないかと。だけど私は諦めたくなかった。いつか…いつかは宗介さんに好きになってもらえる時が来るんじゃないかと──そん...

SとMの癒えない関係 28話

──ごめん(…え)──ごめん…(…誰…?)遠くで聞こえる声と、なんだか掌に感じるポカポカとした温かさ。「……ぁ」薄っすらと目を開けると、ぼんやりとした黒い輪郭が浮かぶ。「…」寝ぼけている頭と目を懸命に覚醒しようとして意識を集中すると「──目が覚めたか」「…!」私の顔を覗き込んでいたのは大好きな宗介さんの顔だった。「そっ、宗介さ──」慌てて起き上がろうとした時になって気が付いた。(えっ…)ソファに寝転がっていた私の...

SとMの癒えない関係 27話

「全く…無茶をするんだから」「…」どれくらい泣き続けたのか解らない。だけど私が泣いている間中、岩谷さんはずっと背中をトントンと叩いてくれていた。「酷い事してごめんね」と云いながら、泣き止むまでずっと傍にいたのだった。「さ、これでいい」「…ありがとうございます」割れたカップを握っていた掌は出血の割に深く切れてはいなかった。ざっと傷口を水で洗って、事務所に置いてあった救急箱の中から創傷被覆材を取り出し貼...

SとMの癒えない関係 26話

「あ…」「…止めなよ」「えっ」ソファに押し倒された事によって仰向けになった私の上に跨る様に岩谷さんの体が覆い被さり、そして間近に迫った岩谷さんが呟く様に云う。「辛い恋、しているんじゃないの?」「!」(なんでそんな事)岩谷さんからの見透かされた言葉に驚いた私は直ぐに応える事が出来なかった。「…なんかおれ、そういうのが解るみたいで」「え」「特に気になる女の子の気持ちっていうのが。気になるからずっと見てし...

SとMの癒えない関係 25話

バラバラになっていた資料写真を番号通り元に戻し、スチール棚に収めた。「これで一通り片付いたかな」「はい」丁度片付け終わった頃に岩谷さんから声を掛けてもらった。すっかり整理整頓された事務所内は狭いながらも広々とした印象を与えた。「…はぁ、ちょっと休憩」「あ、私、コーヒー淹れて来ます」「あぁ、いいよ。もう帰るから」「でも直ぐですから」「…そう?ごめん、手間かけさせて」「手間じゃないですよ」部屋の端にある...

SとMの癒えない関係 24話

「──ん」「…」「こ───さん」「…」「小清水さん!」「!」バンッと机を叩かれた衝撃で我に返った。「ちょっとちょっと、訊いているの?」「…あっ」(しまった…!今は仕事中だ)「何ボーッとしちゃっているの?いくら休日出勤だからって不真面目にしていい訳じゃないんだよ」「す、すみません!」「…まぁいいけど。其れよりこの計算、僕が思っていた数値と随分違っているんだけど」「え…ちょ、ちょっと待ってください、もう一度計算...

SとMの癒えない関係 23話

翌日、起きた私がリビングに行くと其処にはもうスーツを着込んだ宗介さんがいた。「あ…お、おはよう、ございます」「──おはよう」昨日の事を思うと少し気恥ずかしかったけれど、相変わらず宗介さんは何もなかったかのような表情で私と挨拶を交わした。「あの、朝ご飯は──」「もう出かけるから要らない」「あ…そう、ですか」「…」上着を羽織り、身だしなみを整えている姿を横目で見ながら(あ…ネクタイ、曲がっている)そっと寄り添...