Lune Ouvrage

*樹野花葉の恋愛小説ブログ*

秘密の穴園 10話

「あれ?穴園さん、其処の漢字間違っているよ?」「──え」放課後、いつもの様に生徒会での仕事をこなしていると、横から覗き込んでいた先輩から指摘された。「あ、本当ですね。ありがとうございます」「ははっ、穴園さんでもそういう失敗する事あるんだね」「…」気さくな会計の先輩は爽やかな笑顔で私を見ていた。(いけない…ボーッと気を抜いていたら本性が出ちゃう)私は内心慌てながらもいつもの冷静さを取り戻した。「…」其れ...

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秘密の穴園 9話

学校、昼休み、他の先生もいる。(この状況下で危ない事なんて何にもない──と思っていましたけど?!)「何ですか、この体勢は」「何ですかって、押し倒しているんだけど?」「…」学校、昼休み…というのは間違いない。ただ…(美術準備室には如月先生しかいなかった!)入室と同時に私は如月先生に机に押し倒された。「あの、お話は何でしょう?」「勿論モデルの件に関してだけど」「其のお話でどうしてこの様な体勢にさせられてい...

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秘密の穴園 8話

其れはいつもと変わらない朝だった。「おはよう、お姉ちゃん」「おはよう」「望、ご飯は?おかわり」「もういい。いってきます」「あ、叶恵も行くー」「はいはい、いってらっしゃい」いつもの様に母の作った朝ご飯を食べて、駅まで妹と一緒に歩いて其処で別れ、私は電車で5駅先にある高校へと向かう。いつも席が空いていても座らない。出入り口の窓からぼんやり流れる景色を見るのが好きだった。一駅毎に同じ高校や他校の生徒が乗...

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秘密の穴園 7話

ギシッとベッドが軋む音が耳に付く。私と高野の距離が縮まった。「…ねぇ、どうして穴園さんは…猫を被っているの?」「そ、そんな事、あんたには関係のない事よ!」「…」何をされるか解る様で解らない今のこの状況で、私はすっかり本性丸出しで高野と対峙していた。「あんたの話ってこういう事?私を脅迫しようって訳?!」「…脅、迫?」「そうよ、私が本当はこんな性格だって事、みんなに知られたくないのが解っていて、其れであん...

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秘密の穴園 6話

「ちょ…!ちょっと待って!」「穴園さん、穴園さん!」「ど、ど、どどどどど…」(どうしてこんな展開になっているのぉぉぉー?!)時:18時過ぎ。処:繁華街裏路地にひっそりと佇むファッションホテル。状況……(私、穴園望はクラスメイトである高野にベッドの上で押し倒されていますっ!)「ね、ねぇ、高野くん、お、落ち着いて?」「お、おお落ち着いているよ、僕は…僕は穴園さんの悩みを──」「え」何だか要領の得ない事を呟きな...

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秘密の穴園 5話

秘密とはある日突然露見するものだった──「えっ、如月先生?」「そう、何か知ってる?」いつもの様にお昼休みは気心の知れた親友とのぶっちゃけ本音トークの時間だった。私たちがいつもお昼ご飯を食べている外庭は人の来ない場所だった。入口には【立ち入り禁止】の看板が張り付けられた鍵のついた金網があって、一般の生徒は入れない様になっている。ただ私は生徒会の役員として昼休みの度に外庭を見回りする──という役目から其処...

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秘密の穴園 4話

「ねぇ、お母さんってどうしてお父さんと結婚したの?」「は?」単身赴任で遠くにいる父抜きの生活ももうすぐ半年経とうとしていた。やっと父のいない生活に慣れて来た穴園家は現在母と私、そして2つ年下の妹の3人暮らしだった。女だけの家のある日の夕食時の会話──「何よぅいきなり。色恋沙汰に無関心の望がそんな事を訊くなんてビックリするじゃない」「あーえっと…前々から訊きたかったんだけど…機会がなかったっていうか…其の...

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秘密の穴園 3話

「君、新入生代表だったからね──目立っていたし」「そうですか」なんだか先生らしくない人だと思った。「君の事、生徒としても気に入っているんだけど…女としても気になっているんだよね」「?!」いきなり手を取られてグッと引っ張られた。先生の顔が私の間近に迫って不覚にも顔に熱が集まった。そんな私の様子を見て可笑しいのか、先生は少し口角を上げ「ふっ」とひと言漏らした。「な、何をするんですか?!」「おっ、怒った顔...

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秘密の穴園 2話

眉目秀麗、品行方正、文武両道──穴園 望を表す四文字熟語はこんなところだった。「穴園さん、これ先生に頼まれたんだけど」「あぁ、其れならこの資料の此処を参考にするといいです」「穴園さん、会計のこの箇所…何度やっても計算が合わないんだけど」「これは引くではなく、マイナス記号です、先輩」「穴園さん」「穴園さん」「…」(あなぞの、あなぞのって…煩いわよっ!)1年生ながら書記として生徒会に在籍している私は、自分の...

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秘密の穴園 1話

私は自分の名前が大っ嫌いだった。『あーな!あーな!あなぞのぉぉー』『ぞのの!』『あな、のぞみまーすだって!変なのぉー』小学生の時は特に酷かった。何故ガキは『穴』という単語を面白がるのか?全くもって理解不能だった。散々からかわれ、最初の頃はいちいち反応していた私だったけれど、突っかかれば突っかかっただけからかいは酷くなった。だから私は悟った。(反応するからつけあがるのだ)と。以来私は無心になった。変...

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